6月16日

<蹴大成>香川、激タックル

コロンビア戦に向けて調整する香川(右)=カザンで(岩本旭人撮影)

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 【カザン(ロシア)本紙取材団】サッカー日本代表は15日、W杯ロシア大会のベースキャンプ地カザンで初戦・コロンビア戦(19日)に向け、調整した。MF香川真司(29)=ドルトムント=は前回大会で4失点を喫した難敵を見据えて守備に目を向けた。日本では攻撃の花形であるトップ下のイメージが強い香川だが、ドルトムント1年目で才能を見いだしたユルゲン・クロップ監督(50)=現リバプール監督=が注目したのは背番号10のハードワークだった。

 香川は頭の両サイドを刈り上げて戦闘モードに入った。初戦・コロンビア戦。前回大会で苦汁をなめさせられたチームだが、「4年という月日もたっている。全く別物だと見ている」。目前の敵に一点集中。雑念や邪念を取り払った。そして、パラグアイ戦(12日・インスブルック=オーストリア)で1得点2アシストと躍動したトップ下は、耐え忍ぶ重要性を説いた。

 「(W杯で攻撃がうまくいかないのは)当たり前の事なのでね。だから、うまくいかない時間帯でもイライラしない、ネガティブになる必要はない。それも起こることも頭の中に入れないといけない」

 初練習後の取材エリアでは、攻撃よりも守備について口にすることが多かった。守備では多種多様なパターンを想定。その上で「僕自身は勝つ。そういう気持ちを持ち続けて臨みたい」と意気込みを語った。攻撃の花形であるトップ下として輝いた実績があるが、2010年の欧州挑戦1年目で出会ったクロップ監督の目を引いたのは意外にもハードワークだったという。

 香川と同時期に入団した元オーストラリア代表GKランゲラック(名古屋)が証言する。「最初の練習を強烈に覚えている。10番の選手って激しくタックルにいかないし、日本人選手はガツガツせず、おとなしいイメージだったけど、最初から飛ばしてきた。100%のタックル。クロップ監督はそれを見て彼を重用したのだと思う」。技巧派がユニホームを汚し、体をぶつける姿が、名将の目に留まった。

 うまさだけでは勝てない、ステップアップもできない。香川は身をもって知る。29歳で迎える2度目のW杯。史上最高齢の西野ジャパンに批判が集まる逆風の中で10番を背負う。「失う物はない。何を言われようが、もう言われ切ったと思っている。そこに恐れはない」。8年前、技巧派はハードワークで欧州での道を開いた。ロシアで再び−。10番がコロンビアにタックルを浴びせる。 (占部哲也)

中スポ 東京中日スポーツ

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