6月15日
<現地記者の暴露話>出場しない米国がチケット売り上げ2位
米国からW杯のチケットを握り締めた人々がロシアに大挙する。以前には想像できなかったことが現実に起こっている。国別チケット購入者で米国はW杯に出ないのにロシアに次ぐ2位だ。
「サッカー不毛の地じゃなかったっけ」。開幕日、ふに落ちない気持ちでモスクワ中心部、赤の広場を訪れた。集まった各国のファンがうちふる国旗はコロンビアやメキシコで、星条旗はない。
ニューヨークから来たという大学職員チャルカビさん(30)が秘密を教えてくれた。「多くは俺たちみたいな移民じゃないか」。手にペルー国旗を握っていた。
「アメリカなら給料が4倍。しっかり稼いでW杯に来られるさ」
開幕戦のスタジアムでは、ロシア人ブラスバンドが米国のヒット曲を吹き鳴らし、人々が体を揺らしていた。サッカーより音楽で米国が存在感を放っていた。2026年のW杯は米国を含む北中米で開かれる。そのとき、サッカーが盛んとは言えなかったロシアの人々は大挙して米国へ向かうだろうか。この日、スタジアムを埋めたロシアサポーターの笑顔を見れば、あり得なくはないと思う。 (垣見洋樹)
