6月14日

<目撃者>初戦は本田外してトップ下に香川 「前線の守備」がキーワード

12日の親善試合パラグアイ戦の後半、ボールを追う香川(中央)=オーストリア・インスブルックで(岩本旭人撮影)

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 【ゼーフェルト(オーストリア)本紙取材団】サッカーのW杯ロシア大会は14日午後6時(日本時間15日午前0時)、モスクワのルジニキ競技場で行われる1次リーグA組の開催国ロシアとサウジアラビアの一戦で開幕する。19日に1次リーグH組初戦でコロンビアと対戦する日本代表は13日、大会中のベースキャンプ地となるカザンに向け、事前キャンプ地の当地を出発した。12日の本大会前最後となった強化試合で、パラグアイを4−2で破り、就任後初勝利を挙げた西野朗監督(63)は総仕上げの地となるカザンで、トリックプレーを含めた秘密兵器を準備する。

 就任3試合目での初勝利から一夜明けた西野監督は、少し眠そうだった。「明け方までビデオを見ていたからね」。喜びもつかの間。W杯初戦、コロンビア戦に視線を向けた。パラグアイ戦では控え組が奮起。“下克上”の空気を漂わせた。指揮官も「いい悩み。高いレベルで選択する状況にワクワクしている」とほおを緩めた。

 西野流の「テスト」は終わった。19日のコロンビア戦での「キャスティング(先発)」はどうなるのか。4バックが確実だ。パラグアイ戦は終盤にパワープレーを仕掛けられた場合に備え「最終ラインに1枚入れる」5バックも考えていたという。急造となる3バックは、あくまでオプションのようだ。

 前線も「守備」が第1キーワードになる。コロンビアは格下相手には後方からパスをつなぐ。前線での奪取からカウンターが生命線になる。西野監督は言う。「岡崎と香川の2人でいいチェイシングとタイミングも良かった」。所属クラブでも前線からのボール奪取を求められる2人。特に岡崎の“守備職人”としての技量を評価した。

 後半29分で交代した岡崎はベンチで「犠牲やん」とつぶやいたという。ゴールよりも、チームの歯車を回すことを最優先。その覚悟をピッチに描いた。「常に2つ、3つ先のプレーに対する貢献度。それはチームに絶対に欠かせない」とは、W杯メンバー発表会見での監督の言葉だ。初戦に向けた「新しい可能性」は、けが明けの岡崎、香川、乾の「予想以上のパフォーマンス」だった。

 1トップを岡崎として、そこから逆算すると、トップ下は守備で好相性をみせる1得点など3得点に絡んだ香川。ガーナ戦、スイス戦で先発した本田はファーストチョイスではないだろう。左MFは、香川との元C大阪コンビで2得点した乾が当確だろう。右MFは圧倒的な運動量と、攻撃陣では群を抜く守備力を誇る原口とみる。4バックは欧州で強烈なアタッカーとの経験値がある長友、槙野、吉田、酒井宏。ボランチは長谷部を軸に、セットプレーのキッカーを優先するなら柴崎、ロドリゲスを徹底マークするなら山口に絞られる。

 忍者のような神出鬼没な守備から機動力を生かしたマシンガン攻撃に転ずる。なかなか見えてこなかったコロンビア戦への「絵」は3試合を終え、輪郭は浮かんできた。実験を重ねたオーストリアを離れ、キャンプ地のカザンへ入る。監督は総仕上げでも、常人には見えない「何か」を見せてくれるのだろうか。初戦まであと5日だ。 (占部哲也)

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