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候補者ルポ(下) 大村秀章さん

2019年1月26日

大漁旗を背に演説する大村さん=南知多町の篠島で

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 底冷えする知多半島最南端の南知多町師崎港で、支援者ら二百人を前に街頭演説を始めた。「この地域の漁業、農業、観光、防災をさらに強くすることを、これから島々を回って訴えていく」。二十三日午前八時、三期目を目指す現職の大村秀章さん(58)は宣言し、濃密な一日の幕が開けた。

 チャーターした船に乗り込むと、約二時間で三河湾に浮かぶ南知多町の篠島、日間賀島と西尾市の佐久島を訪問。いずれの島でも百人ほどの島民が集まり、大村さんは漁業振興などの政策を熱を込めて訴えた。篠島、日間賀島では大漁旗で迎えられ、佐久島では島民から紙テープを渡されて見送られた。

 大村さんは初めて知事選に挑んだ二〇一一年、再選された前回一五年も選挙期間中に離島巡りをした。人口が少ない地域を時間をかけて回ることは、訴えを届けるには効率が悪いことは覚悟の上。それでも続けるのは「選挙のときこそ県内をくまなく回り、住民の話をしっかり聞きたい」という思いがあるからだ。大村さんと握手を交わした佐久島の女性は「島のことを忘れていないと感じられた」と笑顔を見せた。

 篠島からは渥美半島の田原市・伊良湖港に渡り、昼前には知多半島へ帰還。陸路で知多半島を北上しながら、夕方まで役場や商業施設前で一時間刻みに街頭演説を繰り返した。

 立憲民主、国民民主、公明党と自民県連の推薦を受ける大村さんの行く先々では、各党の国会議員、県議、市議らが応援演説に参加。大村さんはそれぞれの地域に応じた道路や教育・医療施設の整備計画などを演説に盛り込み、「インフラ整備を進めて近隣とのつながりを深め、地域を元気にしていく」と力を込めた。

 夜はみよし、豊田、安城の三市で個人演説会を開き、分刻みのスケジュールで会場を回った。登壇すると、早朝からの疲れも見せず「八年前にどん底だった経済をV字回復させることができた」と二期の実績を強調。最後の安城会場では五百人の参加者一人一人と握手して支持を呼び掛けた。

 この日の活動が終わったのは午後九時半。「改めて愛知は広い。話している時はアドレナリンが出て平気だけど、まあ、ちょっと疲れたわね」。と言いながら、この後も事務所で打ち合わせがあり、翌朝七時からは駅前に立つ予定という。「明日になれば、また県民の皆さんから元気をいただけるから何とかなるんだわ」。笑って演説会場を後にした。

(中尾吟)

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