連載

候補者討論会(中) 人づくりと安心・安全

2019年1月21日

 知事選の立候補者による討論会の第二弾は、教育・福祉など人づくりに関わる政策や防災・安全対策について。県労働組合総連合(愛労連)議長で新人の榑松(くれまつ)佐一さん(62)と三期目を目指す現職の大村秀章さん(58)が交わした意見を聞いてみよう。

 −榑松さんは、県は財政力が豊かなのに教育や福祉にかける予算が少ないと主張している。

 榑松 総務省が公表している都道府県の財政力指数では、愛知は東京に次いで二番目に財政力がある。教育、医療に関わる予算は、やりくりでもっと手厚くできるのではないかと思う。

 大村 豊かな財政力というのは事実ではない。かつては税収で予算が組めたが、リーマン・ショックで税収が五千億円も落ち込み、二〇一八年度も赤字県債や基金の取り崩しなどで何とかやりくりした。そんな中でも教育・福祉の予算はずっと増やしてきた。総額で教育費は全国四位、福祉医療関係は全国五位。国の統計では県民一人当たりの教育費が低いとなっているが、愛知は人口が多いため、効率的に学校運営ができているからだ。一校当たりにかけている予算は多く、小学校が全国七位、中学校は八位。保育所や放課後児童クラブの定員も増やしてきている。

 榑松 一人当たりか一校当たりかという話では、私はやっぱり一人当たりで見ていかないといけないと思う。今の学校現場は子ども一人一人への丁寧な対応が必要で、教員の負担も大きい。

 大村 教育・福祉では、子どもの貧困対策として、実態把握のための調査を県単独でやった。貧困世帯の子どもたちが全体の5・9%、七万人いるという結果で、学習支援や子ども食堂の運営支援など、経済環境に左右されずに勉強、挑戦ができる環境をつくっていきたい。

 榑松 大村さんが貧困対策に力を入れているのは感じる。ただ、支援がもっと、見えない貧困の部分にまで広がっていかないといけない。例えば高齢者の貧困問題では、老夫婦の年金で暮らしていたアパートの家賃が、一人亡くなったため払えなくなる住居確保問題がある。障害者雇用の問題なども、県独自の取り組みで改善していきたい。

 −防災や子どもの安全対策については。

 榑松 私の実家は一九四四年の東南海地震で母屋が全壊しており、耐震化が重要だと感じている。住宅リフォーム補助の基準を緩めて部分補修などをしやすくすれば、もっと住宅の耐震化が進む。子どもたちの通学路の安全対策もすぐに進めていかなければいけない。

 大村 私の父の実家も四五年の三河地震で倒壊した。地震防災は大事。耐震診断は県も補助しており、海抜ゼロメートル地帯での津波などに備えた拠点づくりも進めている。通学路の安全対策も進め、四千五百四十二カ所が対策済みだ。これからもハード・ソフト両面の対策を進めていきたい。

 

連載の最新記事

連載の記事一覧

新聞購読のご案内

Copyright © The Chunichi Shimbun, All Rights Reserved.