連載

候補者討論会(下) 人口減・産業・外国人

2019年1月22日

 知事選の立候補者による討論会の最終回のテーマは、人口減少や外国人の受け入れにどう対応し、産業を育てていくか。新人の榑松(くれまつ)佐一さん(62)と現職の大村秀章さん(58)が持論を展開した。

 −日本は人口減少社会に入り、県内でも東三河地方では人口が減り続けている。若い女性の首都圏への県外流出もある。

 大村 愛知はこの八年間で人口が十三万人増えて七百五十四万人になり、まだ増えているが、知多、渥美両半島や東三河などでは減少している。きめ細かな対応をするために二〇一二年に東三河県庁をつくって副知事を置き、振興ビジョンをつくった。雇用、定住促進などの対策を着実に進めることが必要だと思う。東京と関西の大学生に、愛知の働きやすさ、住みやすさのPRも始めた。

 榑松 最低賃金が高い愛知や東京などには非正規労働者がどんどん移動し、人口が増える。人口を増やすためには、結婚して子育てをしようという若者が増えないと、人の数だけ増えてもその後が増えていかない。愛知は製造業が活発だが、男性中心のため女性の働き場が少ないということもある。県営住宅の空き部屋を若者に安く貸し出して、有効活用するなどの対策が必要だ。定住支援と雇用先の企業支援も併せてやらないと、なかなか人口増にはならない。

 −産業支援については。

 榑松 中小企業の人手不足は深刻。経営者と話していると「給料を上げなきゃ人は呼べないが、取引先の大企業から仕入れ単価を引き下げられ、上げられない」という悲鳴を聞く。大企業に、下請けに利益を回すよう働き掛けていく必要がある。

 大村 愛知の製造業出荷額は四十年連続一位で圧倒的。自動車、航空宇宙産業、ロボットなど個々の産業をサポートしていくことで、さらに雇用も増える。グローバル化の世界の潮流に乗っていかねばならず、中小企業や商店街の振興などもきめ細かく積極的にやっていきたい。

 −入管難民法改正で外国人材の受け入れが本格化する。

 大村 既に愛知には外国人がたくさんおり、東京に次いで二番目に多い。製造業ではまだまだ人手不足感が強い。大切なのは、外国人材と家族への日本語教育など生活支援だ。国が本来は責任を持って支援すべきなのにそういった視点が乏しく、今回、法律を改正しても制度がどうなるのか不安がある。県が音頭を取って国や経済団体を巻き込み、全国のモデルとなるような受け入れ環境を整備していきたい。

 榑松 確かに、国がなかなかそうした支援をやらないのが問題だ。私は十年ほど外国人支援に携わっているが、多国籍化で対応言語も複雑になる中、日本語教育などは地方に押しつけられている。今回の法改正の中身もすかすかだ。とはいっても今の時代、会員制交流サイト(SNS)で通訳の協力者などはすぐに集められる。うまく活用しながら、支援をどんどんやっていかなければならないと思う。

 

連載の最新記事

連載の記事一覧

新聞購読のご案内

Copyright © The Chunichi Shimbun, All Rights Reserved.