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候補者討論会(上) 県政の評価と将来像

2019年1月20日

県政について意見を交わす榑松佐一さん(左)と大村秀章さん=中日新聞社で

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 十七日に告示され、選挙戦が始まった知事選。本紙は県労働組合総連合(愛労連)議長で新人の榑松(くれまつ)佐一さん(62)と三期目を目指す現職の大村秀章さん(58)による討論会を告示前に開いた。両候補はこれまでの県政をどう評価し、どんな未来を描くのか。繰り広げられた議論を三回に分けて紹介する。

(司会は吉枝道生社会部長)

 −初めに大村さんの二期八年の評価の話をしたい。どう採点するか。

 大村 特にこの四年間は前回選の公約に着実に取り組み、自己採点は九十点はつけたい。八年間でインフラ整備は順調に進み、産業力を強化して雇用も三十万人増えた。リーマン・ショックを受け、一ドル百円を切る円高、東日本大震災から壁をはい上がるようにV字回復し、(県内総生産は)20%近く伸びて四十兆円となり、大阪を抜いて二位になった。

 「すべての人が輝く愛知」ということで子育て支援から若者の育成、女性の活躍、高齢者や障害者の福祉・医療を着実に進めている。強い経済・産業が、若者や女性、高齢者、障害者の雇用を生み、地域を元気にして他に見られない循環をつくれている。

 榑松 六十五点ぐらい。もっと厳しい意見の方もいるが、このリーマン・ショックの後の財政のやりくりから、特別支援学校の新設なども私たちが提起して知事に努力いただいた。要望を聞いてもらったという点ではそれぐらいかな。

 どうして三十五点はないのかというと、大規模事業による景気対策は成果があった一方、給料は上がらず、社会保険料はどんどん高くなり、非正規社員は増えた。非常に困っている人が、市町村に支援を求めている。そちらに目を向けるべきではないかということで、三十五点低くした。

 −今後はアジア競技大会、リニア中央新幹線開通など大きな動きがある。愛知の将来像は。

 榑松 僕はリニアにあんまり期待している方じゃない。名古屋一極集中にならないかと心配している。一極集中すると、県内の他の地域に人が住み続けられなくなってしまう。田舎も年寄りには非常にいい。自動運転の車でボタンをピッと押したら病院へ行けるとか利便性が高まれば。これからも住み続けられる県にしていく必要がある。

 大村 リニア新幹線で東京−名古屋が四十分。首都圏、中京圏で五千万人の大交流圏ができる。やっぱり大きなチャンスにしていきたい。そのときに東京の磁力に引っ張られてはいけないので、名古屋駅をスーパーターミナル化する。名古屋駅にいかに早くたどり着けるかの交通網整備もしっかりやっていく。

 自動車も航空宇宙もロボットも含め産業力をアップさせ、国際的なイベントもしっかりやりたい。二〇一九年にラグビーワールドカップ(W杯)がある。二三年は技能五輪国際大会も誘致したい。二六年はアジア大会があるので、世界中からこの地域が目的地になるようにジブリパークを二二年秋にオープンしたい。日本オリジナルで世界に通用する。そういう街であり続けられるように頑張りたい。

 −榑松さんはもっと暮らしに焦点を当てたいと。

 榑松 そうですね。県政はほとんどの人に見えてこない。でも本当は暮らしに関わる大切な仕事をたくさんしている。大村さんが言う楽しいこと、例えばジブリの映画も嫌いではないので安く入場できたらいいが、困っている人がこんなにたくさんいるときに、大型開発をやってる場合かなとも思う。これからは高齢者が増えるので、全体として少子高齢化対策にシフトしないと大変だと思う。

 

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