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能登半島地震特集あしたへ新たな一歩 能登半島地震1年が経過被災地に残るつめ跡 復興へ確かな足取り三月二十五日午前九時四十一分五十七秒。ちょうど一年前に能登半島地震が発生した瞬間、被害が集中した能登半島には寺の鐘や防災無線のサイレンが響き、地元の人たちは目を閉じて手を合わせた。がれきの間から再起しようと歩んだこの一年。復興への道のりはまだ長い。被災者は苦しい日々を振り返り、次の一歩を踏み出した。
活気戻る輪島朝市感謝祭にぎわう『客足も8割回復』輪島市の朝市通りでは「輪島朝市復興感謝祭」があった。 地震発生の午前九時四十一分、地元のお年寄りや観光客らが黙とう。市朝市組合長の安藤登允さんが「おばちゃんたちのパワーと全国からの支援で震災前に近づきつつある」とあいさつした。のとじま水族館(七尾市)のマゼランペンギン二羽と地元園児らが行進し、地元の小中高校生らは和太鼓演奏などで花を添えた。 店舗が一部壊れた漆器店主の八井浄さん(68)は「当時を思い出すと複雑な気分。一方で、よくここまできたとも思う。客足は八割ほど回復したと思う。早く完全に戻ってほしい」。 埼玉県から観光で来た主婦(60)は「朝市は初めて。地震の影響を感じさせないほど活気がある」と話した。 朝市は昨年四月十一日に再開した。市などによると、同月の客数は前年のほぼ三分の一の約一万八千九百人。客足はその後回復傾向で、昨年十二月には前年同期比103・4%の約五万千四百人に。今年二月は同92%の約三万九千六百人だった。 (山内悠記子)
建て直しの参考に門前でモデル住宅完成能登半島地震の被災者が自宅を再建する際の見本となる「能登ふるさとモデル住宅」が二十五日、輪島市門前町道下地区で完成し、記念式典が行われた。 モデル住宅は住民が自由に見学できるよう仮設住宅近くに建設。完成式で谷本正憲知事は「この日を機に、復興への道筋を確かなものにしていきたい」とあいさつ。輪島市の梶文秋市長らとともにテープカットし、住宅内を見学した。 住宅プランは面積や間取りなどが異なる十二タイプを用意。価格は千百万−千二百五十万円で、国や県の支援制度などを活用すれば、最大七百万円程度の助成を受けられる。県などは再建を目指す人々の相談に応じる。 ただし、助成金の一部は景観や耐震性、材料などの条件を満たす必要があり、既に建て直した人々からは「もう少し早く提示してほしかった」などの声も上がっている。 (上野実輝彦)
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