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能登半島地震特集

定点ルポ 被災地を歩く 能登半島地震1年(2) 門前・道下 小ぶりでも地元で

小ぶりな新築住宅や更地が目立つ通り。新たな街づくりが始まる=石川県輪島市門前町道下で

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家再建 次は街づくり

 道路から奥まった所に平屋の新築住宅が一軒、また一軒と現れる。地震前と比べ、建物は約四分の一。土地が広い分、家の小ぶりさが目立つ。

 約五百メートルの通り沿いで新たに建った家は十軒。現在も数軒が新築中。「思ったより早く建った」と住民が口をそろえる再建ぶりに驚いた。

 地震直後、ほとんどの家が傾いていた石川県輪島市門前町道下の旧道。半年ぶりに歩く道は相変わらず工事の音が響く。昨年九月と比べて、海からの風が冷たい。

 目の前に広がる更地の前で、一年前の記憶をたどる。郵便ポストに倒れかかるように傾いた家、崩れる瞬間をとらえようとテレビカメラが取り囲んだ家があった。警察の規制線が張られる前、傾く家から家財を運び出す老夫婦がいた。「今、どこで暮らしているだろう」。時の流れを実感しながら歩を進める。

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 昨年秋に「いきる」の花文字があった花畑は消えていた。世話をしていた主婦(57)は「十一月に霜でやられてしまった」とぽつり。「寂しいですね」と声をかけると、「また暖かくなったら見に来て」と元気な言葉が返ってきた。

 区長の泉靖郎さん(74)を訪ねた。「みんな顔見知り。避難所でも一緒だった。この土地に残りたい。それしかないわいね」。驚くほど人口の流出は少ないという。金銭面では「地区に昔、農協があったおかげで、保険に入っていた人が多かった」と明かす。

 「次は街づくり。更地に花を植えるなど潤いのある街並みも工夫したい」。泉さんの目に力がこもる。昨年末には住民で協議会を発足させたという。住民たちの熱い思いが伝わってきた。

 (報道部・高橋雅人)

 

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