トップ > 北陸中日新聞から > 能登半島地震特集 > 記事一覧 > 3月の記事一覧 > 記事

ここから本文

能登半島地震特集

「まさか生家が…」 門前住宅取り壊し始まる

壊の危険性が高いと判断され、重機で取り壊される被災住宅=石川県輪島市門前町舘で

写真

 能登半島地震で被害を受けた建物の応急危険度判定調査がおおむね終わり、倒壊の危険性が高いと診断された住宅の取り壊し作業が30日、石川県輪島市門前町で始まった。

 取り壊されたのは門前町舘の河原悦子さん(72)宅。築40年近い木造2階建て。地震で1階屋根が崩れ落ち道路にはみ出し、片側車線をふさいでいた。交通の妨げになり2次災害の危険もあったため、河原さんが行政に取り壊しを依頼。重機2台が建物を壊し、廃材をトラックに積み搬送した。作業には河原さんの息子剛さん(38)=千葉県在住=が立ち会い、解体の様子を見守った。

 生まれ育ち、最近もたまに里帰りしていた実家の取り壊しに剛さんは「故郷に帰ればいつもあった家がなくなるのはやはり寂しい。いつかこういう日が来るとは思っていたが、まさかこんな形でとは…」と目を伏せた。

 1人で実家を守ってきた悦子さんは仮設住宅入居まで避難所生活を続けると言い、剛さんは「建て直しも考えてはいるが、今は1日も早く母親に安心して過ごせる場所を確保してやりたい」と気遣った。 (加賀大介)

 

この記事を印刷する

北陸中日新聞から
石川
富山