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能登半島地震特集避難所増設を検討 県、感染症発生を懸念
能登半島地震の最大被災地である石川県輪島市などで、避難所で暮らす住民らに感染性胃腸炎などの感染症が広がる懸念があるとして、県や輪島市などは、避難所数をさらに増やすことの検討に入った。1カ所の人数を少なくすることで、発生時に拡大を最小限にとどめる狙い。道路は部分閉鎖の能登有料道路が29日午後に一部、開通するなど復旧が進むが、一方で農林水産関係の被害規模が次第に明らかになっている。 避難所は同日午前段階で、輪島、七尾両市と志賀、穴水両町で36カ所あり、1653人が自主避難している。だが、県が各避難所で調査したところ、28日夜で130人余が心身の不具合を訴えている。感染症の報告はほとんどないが、多くの人が集まる避難所で発生すれば、深刻な事態が予想されることから、県などは警戒を強めている。 農林水産関係の被害は、26日ごろから県が調査を本格化させている。その結果、29日朝現在で、ため池などの損傷が輪島市中心に40カ所、用水など38カ所、水田のあぜなどの崩壊24カ所のほか、林道37カ所で通行止めとなり、漁業用施設は28カ所が損傷した。県は、農業土木関連のOB職員らの協力を得て調査を急いでいる。 一方、今週末の土、日曜日には、ボランティアや被災地に実家がある他地域から入る人が集中して混雑が予想されることから、大量に出されている廃棄物の搬送車通行に影響が懸念されている。 このため同県、輪島市、県警は、自家用車で来る人には市街地から離れた所で車を置いてもらい、バスでピストン輸送する手法をとる方針。現在、駐車場用地を探しており、県警は土、日に100人の警察官を出して交通規制を行う。 30日には、統一地方選の石川県議選が告示されるが、輪島市でも最も被害のひどい門前地区では投票所や開票所が避難場所となり、市選管が変更を検討している。地元陣営からは選挙運動に苦慮する声も聞かれる。 余震は29日も続き、気象庁の観測では同日午前11時までに284回を記録した。同県内の重軽傷者は同日午前8時現在、260人、全半壊住宅は390戸となった。
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