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能登半島地震特集

全国の支援、物資“厳選” 「本当に役立つ物を」

体育館に整然と山積みになる支援物資=29日午前9時17分、石川県輪島市門前町で

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 能登半島地震で大きな被害を受けた輪島市に全国各地から救援物資が届いている。2004年の新潟県中越地震では、あり余る善意が物資過剰の状態を引き起こしたが、今回は受け入れ側が混乱する光景はない。これまでの教訓から「被災者に本当に役立つ物を」と、送り手の意識に変化が芽生えたようだ。(報道部・伊藤弘喜、東海本社報道部・中崎裕)

 輪島市女性センターに届いた着替えや授乳のための簡易更衣室10個と間仕切り14個は、新潟県と長岡市からの支援物資。間仕切りは高さ140センチで、1家族が入れる程度の広さ。いずれも段ボール製で組み立ては簡単だ。

 新潟県と長岡市は、中越地震で苦い経験がある。全国の個人、団体から救援物資が殺到し、3週間で約4万6千件に上った。県や市の職員は仕分けに追われ、古着などは廃棄を余儀なくされた。特に苦労したのは個人からの小口の物資だった。

 長岡市危機管理防災課の鈴木昇課長補佐は「物資は全体に配れないと公平性に欠け、一定の数が集まるまで待たないといけない。保存場所も足りなくなり、仕分けに労力を要した」と振り返る。

 しかし、能登半島地震の物資の保管場所は、飲み物と簡単に作れる食料を中心に同じ商品名の箱が整然と並ぶ。小口の郵便物はほとんどない。輪島市門前町の健民体育館で物資の分配などを担当する竹島忠男さん(58)は「古着類は一切届いていない。阪神と中越の経験から何が喜ばれるのかを支援者が実感しているのでは」と分析する。

 輪島市には28日現在、計42の個人と団体から救援物資が届いた。同市は、被害が大きい門前町と他の区域に分けて受け入れ場所を設置。石川県を含めそれぞれが物資リストを作成し、各避難所のニーズを踏まえ、必要なものを融通し合う態勢を取った。

 これが功を奏し「余ったり足りなかったりということはない」と輪島市災害対策本部で物資担当の西見豊さん(54)。長岡市の鈴木課長補佐は「地震発生当初の混乱が落ち着いてきた今、きめ細かな部分のケアを大切にして」とエールを送る。

 

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