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能登半島地震特集

観光業界に大ダメージ 和倉温泉“上げ潮”に冷や水

 奥能登を中心に大きな被害をもたらした25日の能登半島地震。観光業界は大きな打撃を受け、26日も人気スポット石川県輪島市の朝市通りは閑散。休業している旅館も多い。製造業では、大きな被害こそなかったものの、工場の設備の位置がずれたり配管が損傷するなどの被害が相次いだ。被害調査に数日を要する企業もあり、全面復旧にはまだ時間がかかりそう。金融機関などは融資などの優遇や相談に乗りだした。

 「上げ潮ムードだったのに、ガツンとやられた」−。昨年から開湯1200年を前面に誘客を展開している和倉温泉(石川県七尾市)。右肩下がりだった同市の観光客数は昨年、15年ぶりに前年越えを達成し、ことしも勢いに乗ろうとした矢先の地震。旅館協同組合に加盟する27軒のうち18軒は春休みで書き入れ時の26日も、営業休止を余儀なくされた。

 27日には3軒が営業を再開する見込みで、キャンセルが続く中で「泊まりたい」という問い合わせも入っているという。同組合は「早めに営業開始することで“和倉は大丈夫”とPRし、風評被害を抑える考え。大型連休までに全旅館で体制を整えさせたい」。

 和倉温泉宿泊とセットでの利用が多い「のとじま水族館」(同市)は、26日から通常営業を始めたものの、入館者数は例年の4割以下。河本幸治副館長は「施設にも生物にも幸い被害がなかった。31日にはイルカの新施設のオープンもあり、前向きにPRしたい」と強調した。

 能登地方は、観光関連消費額が1215億5千万円(2005年、県調べ)と県内総額の47%にも達する人気エリア。ツアーは県内外の観光地と組み合わせたものが多く、広域への影響を心配する声も。

 貸し切りバス運行の冨士交通(金沢市)には26日午後3時までに、4月分の予約3件のキャンセルが入った。営業担当者は「復旧状況を様子見している段階で、日を追うごとにキャンセルは増えるはず。早い復旧を願いながら、能登を外した場所を巡る提案で食い止めたい」と話した。

 金沢全日空ホテル(同市)には、状況を問い合わせる電話が相次いでおり、広報担当者は「余震が収まった後でも、北陸全体のイメージ低下により、遠方からの利用者減少は避けられない」と危機感を募らせた。

  (鈴木智重)

 

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