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改憲勢力3分の2維持 第4次安倍内閣が1日発足

2017年10月23日 紙面から

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 第四十八回衆院選は二十三日午前も開票が続き、自民党が単独で過半数(二百三十三議席)を獲得し、自民と公明の与党で三分の二(三百十議席)に達した。自公連立政権が継続し、安倍晋三首相(自民党総裁)は続投する。与党に加え、希望の党、日本維新の会、日本のこころを合わせた改憲勢力が改憲発議に必要な三分の二を大幅に超え、八割に迫った。立憲民主党が公示前の三倍を超える議席を得て、野党第一党となった。希望は公示前の議席を下回り、低迷した。

 台風21号の影響で愛知、三重、佐賀、沖縄などの一部地域で二十二日に即日開票ができず、全議席の確定は二十三日午後以降にずれ込んだ。議席が確定していないのは、小選挙区が佐賀2区の一議席、比例代表が九州ブロックの二議席。この三議席を除く四百六十二議席の内訳は、自民二百八十一、希望四十九、公明二十九、共産十二、立憲民主五十四、維新十、社民党一、無所属二十六。日本のこころは議席を獲得できなかった。

 開票が遅れていた沖縄4区は二十三日午後、自民党の西銘恒三郎氏の当選が確実となった。自民党は前回全敗した沖縄県の小選挙区で議席を確保した。

 総務省は、投票率が小選挙区、比例代表ともに53・68%で確定したと発表した。戦後最低だった前回二〇一四年衆院選に次ぐ低い水準となった。

 首相は同日午前、衆院選の結果について「ここからが新たなスタートだ。政策を実行し、結果を出していきたい」と官邸で記者団に語った。続いてトランプ米大統領と電話で協議。トランプ氏は「強いリーダーが国民から強い支持を得たことは重要だ」と首相に祝意を伝えた。首相は午後、公明の山口那津男代表と国会内で会談し、連立政権の継続に合意した。

 これに先立ち自公両党の幹事長は国会内で会談し、十一月一日に特別国会を召集する日程を確認した。同日の衆参両院の本会議での首相指名選挙を経て、第四次安倍内閣が発足する。首相は現在の閣僚をそのまま再任する方針だ。

 立憲民主党の枝野幸男代表は連合の神津里季生会長と東京都内で会談し、一九年の参院選に向け連携していく方針を確認した。同党は役員会を開き、今後の党運営などを協議した。

 希望の党は、東京都知事としてパリ訪問中の小池百合子代表が帰国する二十五日に会合を開き、役員人事などを協議する。

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 比例代表東海ブロックで希望の党の源馬謙太郎氏の復活当選が確実になった。

◆公示前より20超減

 衆院選で焦点となった改憲勢力の獲得議席は、定数の八割近くに達し、改憲発議に必要な三分の二以上を維持した。ただ、公示前の計三百九十六議席から二十議席以上減らした。安倍晋三首相(自民党総裁)は、自衛隊の存在を明記する改憲にあらためて意欲を示したが、各党幹部は首相とは異なる見解を示した。

 首相は二十二日夜の民放番組で「ほぼすべての教科書に、自衛隊は違憲と記述がある。そうした論争に終止符を打ちたい」と強調。「希望の党、日本維新の会、さらには立憲民主党、無所属の方に賛成していただく。大きな多数派を形成できるように努力したい」と話した。二〇二〇年の改憲施行を目指すとみられる。

 これに対し、野党第一党となった立憲民主党の枝野幸男代表はNHK番組で、安全保障関連法の違憲性に触れ「集団的自衛権(の行使容認)を追認するような憲法改正には反対。それが進むなら阻止する」と明言した。

 公明党の山口那津男代表は民放番組で「野党第一党の理解を得て合意することが大事だ」と指摘した。立憲民主が賛成しない改憲には公明も応じられないことになる。公明が賛成しなければ、参院で改憲勢力は三分の二に達しない。

 希望の党代表の小池百合子都知事も民放番組で「自民党と進めるものではない」と一線を画した。自衛隊明記も「種々問題がある」と批判。樽床伸二代表代行は二十三日午前、記者団に「反対だけする立場でないが、今の段階で(自民党と)一致しているかどうかはかなり疑問だ」と話した。

 共産、社民両党は、改憲に明確に反対している。

 (篠ケ瀬祐司)

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