2017/10/13 中日新聞電子編集部
今回の衆院選では「一票の格差」是正のため、19都道府県97選挙区で区割りが変更された。6県(青森、岩手、三重、奈良、熊本、鹿児島)では選挙区が各1つ削減され、有権者の構成が大幅に変わった。新しい区割りに基づいて過去の比例代表票を再集計し、選挙区ごとの横顔を見てみよう。
【結果に関する分析は「2017総選挙・有権者カルトグラム」に掲載しました】
横軸で自民・公明の平均得票率を、縦軸に2000年以降6回の総選挙の得票率の変動(統計学的な指標「平方和」で、平均との差の二乗を合計したもの)を表すと、全選挙区の分布は以下のようになる。
グラフの右下にある選挙区は、与党(自民と公明)の得票率が高く、得票率の変動も小さい「保守王国」だ。都市部はほとんどなく、有力政治家の地盤であることなどから、新しい政党がチャレンジしても結果につながらなかった。
変動の大きな選挙区は、政権交代が起きた2009年と日本維新の会などの新政党が乱立した2012年に、投票行動を大きく変えた地域だ。左上の選挙区は、自公の得票率が低く、得票率の変動が大きい「動く選挙区」。東京や大阪など都市部に集中している。大きな例外は「小沢王国」の岩手で、小沢一郎氏の所属先に合わせて支持政党を変えてきた。
「投票率が低いのは、棄権しても結果は変わらないと有権者が考えているからだ」と説明されることがある。それならば、結果の変動が小さい選挙区の有権者は選挙に行かないはずだが、以下のグラフのように、データはむしろ逆の傾向を示している。
データから読み取れる情報は限定的だ。結果の変動と投票率の関係は単純ではない。立ち上がったばかりの政党は都市部にしか基盤がなく、都市部が別の理由で投票率が低いことを間接的に反映しているだけかもしれない。
比例代表の得票率を、それとは別の制度である小選挙区の単位で再集計したのは、政党の対決構図や候補者個人の「魅力」など、各区それぞれの事情を超えて比較できるからだ。
基本的には2000年以降の6回の総選挙の市町村別得票データ(総務省まとめ)を新しい選挙区で合算した。分割されている自治体の区割りが変更されたり、政令市移行などで自治体の単位が変更されている場合など、単純に足し合わせることができない場合は、有権者数または住民基本台帳の日本人数で比例配分した。