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迫る台風「雨でも投票を」 低投票率懸念

2017年10月20日 紙面から

 衆院選投開票日の二十二日は、日本列島に接近する台風の影響で天候が悪くなる可能性が高い。心配されるのは投票率の低下。戦後最低だった前回の二〇一四年をさらに下回ることが心配される。天候に左右されやすい無党派層の票を当て込む陣営は「雨でも投票に行って」と呼び掛けを強化。三重県の離島では投票箱を運ぶ船が運航できない恐れがあるため、初めて投票日が一日前倒しされる。

 気象庁によると、大型で強い台風21号は日本の南を北上し、二十二日は全国的に雨の見込み。中部地方にも湿った空気が流れ込み、風雨が強まる恐れがある。

 立候補者たちは台風接近に気をもむ。三重県のある無所属陣営は街頭演説や演説会場で「雨でも投票に行ってください」と呼び掛けている。「無所属候補が勝つには特定の支持政党を持たない無党派層の掘り起こしが鍵」と担当者。無党派層は雨など悪天候や晴天の行楽日和は投票所から足が遠のく傾向がある。その場合は業界団体や労組などの組織票に支えられた政党の候補が有利になるといわれる。

 愛知県のある無所属陣営の幹部は「当日の電話作戦に力を入れる」と話す。以前から有権者には「投票に行ってください」と電話してきたが、「雨が予想される今回はさらに徹底しないと」と気を引き締める。

 野上浩太郎内閣官房副長官は十九日の記者会見で、台風接近が選挙に与える影響について「期日前投票を積極的に活用してほしい」と述べた。期日前投票の事由には、昨年の公職選挙法改正で「天災や悪天候により投票所に到達することが困難であること」が追加された。

◆離島、前倒し相次ぐ

 三重県選管は十九日、志摩市の間崎島と渡鹿野島、鳥羽市の神島や答志島など計六島で、市中心部の開票所に運ぶための船が運航できない可能性があるため、投票日を二十一日に変更することを決定。記録が残る限り、県内で投票日の前倒しは初めてという。公選法では交通不便な離島などの投票日を選管が別の日に定めることができる規定がある。六島の有権者三千三百二十六人は二十二日には投票できない。

 「文書で周知する時間はない。防災無線やホームページで知らせたい」と志摩市選管。衆院選と同時実施の市議選の投票も二島では一日前倒しされる。

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 他に投票日の繰り上げを決めたのは、宮城県石巻市、兵庫県南あわじ市、徳島県牟岐町、大分県の佐伯市と津久見市、宮崎県串間市、沖縄県南城市などの離島。二十二日の開票まで市役所などで投票箱を保管する。

 鹿児島県の一部離島では十九日、繰り上げ投票を全国に先駆けて実施した。欠航に備え国政選挙では毎回早めている。対象となる投票所は計十二カ所で、有権者は計約九百五十人。

 (衆院選取材班)

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