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「連勝」体験で野党共闘 新潟ルポ

2017年10月19日 紙面から

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 野党候補乱立で全国的に与党が衆院選を優位に進める中、新潟県内の六小選挙区のうち、五選挙区で野党が候補を一本化し、自民党の候補と接戦となっている。なぜ新潟で野党はつぶし合いを避けられたのか。現地で理由を探った。

 コメどころの魚沼市や長岡市の一部などを区域とする新潟5区。肌寒い十八日午後のJR長岡駅前に、民進党の小川敏夫参院議員会長をはじめ、共産党、自由党、社民党の「野党四党」幹部がそろい踏みした。

◆風土後押し

 「野党と市民が結集すれば、暴走安倍政権を倒せる」。小川氏は、聴衆に一本化に成功した野党系無所属候補への支援を訴えた。

 四党は今回の衆院選でも、全国で選挙協力を模索していた。ところが、希望の党が結成され、民進が希望の公認で候補を出す方針となり、状況が一変した。

 希望入りしなかった民進前職らは、立憲民主党を結成。希望と立憲民主、希望と共産が互いに候補を出し合う小選挙区が相次いだ。「自民・公明」「希望・維新」「共産・立憲民主・社民など」の三極が争う構図の小選挙区は、全体の七割を占める。野党は、競合することで安倍政権への批判票を奪い合い、苦戦を強いられている。

 一方、新潟では2区を除き、立憲民主や無所属の候補に一本化。希望は候補を立てず、共産も2区以外の五選挙区で取り下げた。自民候補と「一対一」かそれに近い構図が生まれた。

 街頭演説に顔を出した地元の共産幹部は「これまでの『成功体験』が一本化に結び付いた」と指摘した。新潟では昨年、民進、共産、生活(現自由)、社民四党が参院選で統一候補を立て、続く知事選でも民進を除く三野党の推薦候補に一本化し、与党に連勝した。

 衆院選でも、この実績を重視した各選挙区の民進前職らが、希望の公認ではなく、「野党共闘」を選択。希望も、有力な独自候補を見いだせなかった。民進の地元幹部は「新潟は風に流されない政治風土があり、希望では大きな支持が得られない」と強調した。

◆自民「脅威」

 自民陣営は、安倍晋三首相(自民党総裁)が公示直後の十二日に新潟入り。県内全六選挙区を一日かけて回り、てこ入れした。

 首相は、野党の統一候補を「無所属では当選後どうするのか」「共産に随分応援してもらっている」と指摘。「当選するために人気のありそうな党にもぐり込んだり、看板を隠したりしてよいのか」と批判した。

 自民で人気のある小泉進次郎筆頭副幹事長も十五日に県内に入り、演説時間の多くを野党共闘批判に割いた。「県内を席巻する『とにかく安倍首相が嫌い』の一点でくっつく野党のあり方と(自民候補を)見比べてほしい」と訴えた。

 野党との「一対一」の争いでは、安倍政権に対する有権者の評価が結果に表れやすい。地元の自民関係者は「野党共闘は脅威だ。全く余裕がなくなった」と危機感を募らせた。

 (山口哲人)

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