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大阪2選挙区で「公明、立民2択しか…」

2017年10月18日 夕刊

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 二十二日投開票の衆院選で、公明と立憲民主の二人しか立候補者がいない選挙区が大阪府に二カ所ある。解散で信を問うとした安倍晋三首相率いる自民の候補や、松井一郎府知事が代表を務める日本維新の会の候補すらいない。政党間で競合を避ける調整や、協力を求めたい他党への配慮の結果だ。有権者の選択肢を狭め、投票率が下がることを懸念する声がある。

 「人物本位で選びたいけど、候補者が少なすぎる。政党の都合で選べと言われているようで、納得いかんね」。ポスターが二枚だけ貼られた掲示板を眺め、堺市堺区の自営業田路(とうじ)実さん(73)が嘆く。

 堺区など三区で構成する大阪16区。前回は公明、民主、次世代、共産の四人が争ったが、今回は立憲民主の元職森山浩行さんと、公明の前職北側一雄さんの二人だけだ。がらりと構図が変わった最大の理由は、政党の打算だ。

 「維新の皆さんとは、東京と大阪でしっかりすみ分けながら、改革の志を国会に届けようと確認した」。希望の党の小池百合子代表は公示前、大阪で記者会見し、「東京は希望」「大阪は維新」と選挙区で選挙協力することを宣言した。

 だが、16区は大阪なのに維新の候補はいない。公明に配慮したからだ。

 「都構想に向けて協議する中、真正面から公明党さんとけんかはできない」

 維新の松井代表は九月、公明が衆院解散前に議席を持っていた大阪府の四選挙区で擁立を見送ることを明言。衆院選で譲歩し、維新の看板政策である大阪都構想に公明の協力を引き出す狙いがある。

 公明との争いを避けるのは、連立与党を組む自民も同じ。16区で自民は、一九九六年を最後に公認候補を出していない。

 一方、共産は今回初めて16区で候補擁立を見送った。野党票が割れて共倒れを防ぐため、立憲民主の候補に一本化する野党共闘を成功させるためだ。

 候補者が減る影響について、森山陣営は「行き場を失う票が出て投票率が下がる可能性がある。(候補擁立を見送った政党を支持する有権者の)票の行方が予想しにくい」と指摘。北側陣営は「当選ラインが上がり、状況は厳しくなった。理念と政策が違う政党による候補者の一本化は問題だ」と野党共闘を批判する。

 大阪市旭区などの6区も、同様の選挙区事情で立民と公明の二人しか候補者がいない。

◆投票率下がる場合も

 <関西学院大の山田真裕教授(政治学)の話> 政党にとっては、限られた予算や人員を勝てる可能性のある選挙区に注力できるので、他党と候補を調整するのは自然かつ合理的なこと。有権者にとっては構図が分かりやすくなる利点がある一方、選択肢が少なくなる欠点がある。有権者の考えに近い候補者が減り投票率が下がる場合もあるが、選挙が接戦になって逆に関心が高まる場合もある。

 (豊田直也)

主な政党の公約

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