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全国

注目ポイント、友好紙に聞く

2017年10月18日 紙面から

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 終盤戦に突入した衆院選は「安倍一強」政治の継続か否かが最大の争点だが、地方に目を向ければ、それぞれの地域が抱える課題や政治状況は異なる。原発や被災地を抱えるまち、政局に翻弄(ほんろう)される地域…。当地の有権者らは誰に一票を託すのか。本紙を含む地方紙友好七社の選挙担当者に注目区やポイントを聞いた。

■原発

 東京電力・柏崎刈羽原発が立地する新潟県。「再稼働。県内ではこれが大きな争点です」。新潟日報報道部の小原広紀デスクが語る。とりわけ注目されるのは新潟5区。前知事で原発政策に慎重だった泉田裕彦さんが再稼働を推進する自民から出馬したためだ。柏崎刈羽原発が立地する柏崎市などは2区だが、5区でも長岡市が三十キロ圏に入るため、有権者の関心は高い。

 野党共闘候補で無所属の前魚沼市長、大平悦子さんが「変節だ」と批判を強める一方、泉田さんは「与党の中から原発政策の欠陥をただす」と反論。舌戦は激しさを増す。

 事情は九州電力が来年一月の再稼働を目指す玄海原発がある佐賀2区も同じ。「原発ゼロ」を掲げる希望の党の出現で、再稼働が争点に浮上。前職の自民と希望が競り合う。三十キロ圏内の住民も多く、西日本新聞佐賀総局の安部鉄也デスクは「地域振興が主な争点だが、脱原発を望む有権者の票が勝敗に影響する可能性もある」とみる。

■「王国」の行方

 民進党が強さを見せてきた愛知、三重県や北海道。だが、希望の出現で「王国」は揺れる。

 「希望への合流は正しかったのだろうか…」。中日新聞社会部の渡部圭デスクがつぶやく。

 製造業が集積する両県は労働組合の組織力などを背景に、非自民系が強固な地盤を築いてきた。だが、民進分裂で希望、無所属、立憲民主(立民)とバラバラに。特に、民進とは方向性の異なる希望に行った候補者に向けられる目は厳しい。「なぜ希望に行ったのか」と言葉をぶつけられた陣営の嘆きも取材班に届く。

 北海道でも民進は、希望と立民に分裂した。もともと旧社会党勢力が強かったこともあり、民進から希望への合流を拒否した人のうち、八人が立民に入党(うち一人は無所属で出馬)。希望に移ったのは三人だった。

 立民は共産との共闘が成立し、全ての選挙区で野党候補を一本化。「自公とリベラル勢力が直接対決する構図」(北海道新聞報道センターの林真樹デスク)で、激戦となっている。

■大物引退

 亀井静香元金融・郵政改革担当相が引退した広島6区。亀井氏が連続十三選を果たしてきた選挙区だ。今回は、これまで苦杯をなめてきた自民前職と、前回選で亀井氏の支援に回った希望元職との激戦。「亀井党とも言える強固な票がどう動くのか。その行方が注目です」。中国新聞報道部の長田浩昌デスクは指摘する。

■希望の風

 兵庫県では希望の小池百合子代表がかつて地盤とした兵庫6区が注目だ。今回、希望が擁立した新人はかつて小池さんの秘書を務めた、まな弟子。十四日には小池さんが現地入りして応援した。自民前職や維新元職、立民新人も立つ激戦区。神戸新聞報道部の藤原学デスクは「強い地縁がないだけに、希望の浸透ぶりを測る試金石になる」と解説する。

■被災地

 宮城県では宮城2区で自民前職と、野党共闘候補の無所属元職が激戦を展開。ただ、震災から六年半が過ぎてハード面の整備に一定のめどがついたことで「復興政策は明確な争点になりにくくなっている」と河北新報報道部の今里直樹デスク。仙台市の被災地を含む2区でも、「共産が応援する候補に議席は渡せない」と繰り返す自民に、無所属は「安倍政権に終止符を打つ」と攻めるなど、国政の対決をそのまま反映している。

 (衆院選取材班)

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