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<政党公約チェック> 憲法・安保法・原発・消費税

2017年10月18日 紙面から

 二十二日投開票の衆院選が近づいてきました。国のかたちを決める「憲法」、国会で大論争になった「安全保障関連法」、東日本大震災で甚大な被害をもたらした「原発」、安倍晋三首相が解散で使途変更を問うとした「消費税増税」の四つについて、本紙が各政党公約や主張を基に、それぞれの立ち位置を図解で示しました。投票の参考にしてください。

 (衆院選取材班)

※希望=希望の党、立民=立憲民主党、維新=日本維新の会、こころ=日本のこころ

◆憲法 5党が改憲に積極的

 戦争放棄や戦力不保持をうたう憲法九条に、安倍晋三首相が自衛隊の明記を提案して迎えた衆院選。安倍政権下での改憲を否定しないのは自民、公明、希望、維新、こころの五党だ。

 自民は自衛隊明記のほか、教育無償化、緊急事態対応など、維新は教育無償化や道州制導入、九条を変えることも主張。こころは自主憲法の制定を掲げる。

 希望は「九条を含め改正論議を進める」とし、知る権利や地方分権の明記を求める。自衛隊明記は「国民の理解が得られるかどうか見極め判断」と慎重だ。

 公明は環境権や地方自治の拡充など必要があれば条文を付け加えるという考え。自衛隊明記は「多くの国民は憲法違反の存在とは考えていない」と自民と距離を置く。立民は「安保法制を前提とした九条改悪と闘う」とし、衆院解散権の制約や知る権利などの憲法論議は進めるとの立場だ。

 共産は「変えるべきは憲法をないがしろにした政治」、社民は自衛隊明記を「九条の死文化」といずれも改憲反対を鮮明にする。

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◆安保法 自・公は積極運用、維・立民「修正を」

 集団的自衛権の行使や、他国軍への後方支援拡大などを定めた安全保障関連法。自公とこころは積極的に運用を進める立場だ。

 自民は朝鮮半島有事を念頭に緊急事態の際、日本人の救出のため、自衛隊が武器を使用できる「邦人救出」など新任務の態勢強化を強調。公明は新任務を明示せず「運用を積み重ね、実績の蓄積を目指す」。こころは国会の関与強化を主張する一方、「敵基地攻撃能力の保有」も打ち出す。

 希望は「現行の安保法は憲法に則(のっと)り適切に運用する」と、現実主義に立脚した外交安保体制の構築を掲げる。維新、立民は法の「修正」を主張。維新は集団的自衛権を行使できる要件を厳格化し、「日本周辺で、日本を防衛中の同盟国軍に武力攻撃が発生した」場合に限る。立民は憲法の枠内で「専守防衛を軸とする」内容につくり変える。集団的自衛権の行使は違憲だとして認めない。

 「戦争法」と位置付ける共産、社民は廃止し、集団的自衛権行使を容認した閣議決定の撤回を主張する。

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◆原発 自・こころは継続、他党は「ゼロ」へ

 原発を使い続けようというのは自民とこころのみ。他党は「原発ゼロ」や「脱原発」を掲げる。

 自民は原発をベースロード(基幹)電源と位置付け、新規制基準に適合した場合、「立地自治体などの理解と協力を得つつ、再稼働を進める」と明記。こころも「安全性が確認された原発は再稼働」とする。

 公明も再稼働の対応は自民に近いが、自民が「原発依存度を可能な限り低減」とするのに対し、新設を認めず「原発に依存しない社会・原発ゼロを目指す」と大きな違いがある。

 希望は二〇三〇年までと年限を区切って「ゼロ」を掲げ、憲法への明記も打ち出すが、住民避難措置などを前提に再稼働は認める。維新は電力自由化で市場淘汰(とうた)される「原発フェードアウト」を主張。再稼働は「世界標準の安全規制」など五条件が不可欠とする。

 立民、社民、共産は再稼働に強く反対。立民は「一日も早く原発ゼロ」を掲げ、原発ゼロ基本法を提案。共産、社民は既存原発の廃炉にも踏み込む。

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◆消費税 自・公「10%に」野党反対

 二〇一九年十月に消費税率を10%に引き上げるかどうかが大きな対立点。与党は引き上げ、野党は凍結、反対の姿勢だ。

 自民は増税分の使途の見直しで国の借金分の返済を減らし、幼児教育や保育の無償化などに充てる。公明も教育の無償化で足並みをそろえた上で、飲食料品などへの「軽減税率制度」の実施を掲げる。

 希望は景気回復を確実にするため、凍結。幼児教育無償化などの代替財源として、大企業の内部留保への課税を検討する。凍結の維新は、議員定数削減など「身を切る改革」で財源を捻出するとしている。

 立民は将来的な国民負担の議論は必要だが、ただちに引き上げはできないとの立場。社民も税制改革による財源確保を根拠に、引き上げに反対。共産は富裕層と大企業への優遇税制をやめ、増税中止を求める。

 こころは「再増税を当分の間停止」し、個人が支払った消費税の一部を積み立て、年金受給時に還付する「消費税マイレージ」の導入を提案する。

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主な政党の公約

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