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戦略いろいろ、各党のコピー 広告研究者が分析

2017年10月17日 紙面から

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 二十二日に投開票を迎える衆院選で、各政党は、ポスターやビラなどで政策を一言で表現するキャッチコピーにそれぞれ独自の色を出している。有権者の関心をいかに引きつけるか、作り手の工夫と党の戦略が垣間見える。広告コピーを研究する中央大教授の飯田朝子さんに読み解いてもらった。

 まずは「この国を、守り抜く。」を掲げた自民党。安倍晋三首相が宣言した「国難突破解散」に呼応する形で、政権与党として国家の危機に対応する決意を示す戦略が見える。

 飯田さんは「『この国を』の後に読点を打ち、余韻を残すことで、自民党が日本を引っ張っていく自信を印象づける効果がある」と解説する。

 安倍首相が解散を表明した日に結成された希望の党は「日本に希望を。」。できたばかりの党名を有権者に浸透させようという狙いがうかがえるが、飯田さんは「何を与えてくれるのか、というメッセージと躍動感が弱い」と指摘する。

 「教育負担の軽減へ。」と政策を具体的に示したのは公明党。「コピーとしては魅力に欠けるが、『軽減を』ではなく『軽減へ』としたことで、党としての方向性を打ち出せている」と評価した。

 飯田さんは「いつもはとがったコピーを作ってきた」と共産党に着目する。「力あわせ、未来ひらく。」という記述からは、市民団体や野党との共闘に力を注ぐ姿勢を反映しているが、「今回はおとなしかったですね」とコメントした。

 立憲民主党については、「『まとも』ではなく『まっとう』という言葉を使ったのがポイント。『りっけん』と同じ促音を入れたことで、政党名と一致したイメージを与えられる」と分析した。

 広告コピーは一秒に読み取れる十三文字以内にするのが基本という。その点で、「消費増税凍結」「身を切る改革」「教育無償化」の三テーマを盛り込んだ日本維新の会は「見る人に訴えかける効果がない」。社民党の「憲法を活(い)かす政治」や日本のこころの「次世代へのメッセージ」も、「どんな政治をしようとしているかが伝わらない」と指摘した。

 (衆院選取材班)

 <いいだ・あさこ> 中央大商学部教授。専門は言語意味論。著書に「広告コピーのことば辞典」(日経BP社)。第53、54回宣伝会議賞協賛企業賞受賞。

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