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選挙費用600億円で何ができる?

2017年10月13日 紙面から

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 全国一斉で行われる衆院選では、投票所や開票所の運営費に巨額の費用が毎回計上されており、総務省によると、前回二〇一四年十二月の実施分は六百十六億九千三百三十五万円に上った。今回も同様の規模が投じられる見通しだが、政策分野に換算するとどんなことができるのか。各省庁が示した来年度予算の概算要求などと比べてみた。

 文部科学省は低所得家庭の高校生や高専生らを対象に、教科書代や通学交通費といった授業料以外の教育費負担を軽くする奨学給付金として百五十五億円を計上している。対象者は約四十五万人。仮に六百億円に増えれば、対象は単純計算でほぼ四倍に広がる。

 選挙費と同程度の額が見込まれている政策では、若者や就職氷河期世代の就労支援が挙げられる。企業で働きながら専門技能を身に付けることを後押しする新規事業などに、厚生労働省は総額五百九十億円を要求している。

 一方、学校法人「森友学園」が旧国有地に建てた小学校を巡っては、金額が異なる三通の工事請負契約書が判明しており、そこに書かれた建設費は最高で約二十三億八千万円、最低で約七億五千万円だった。六百億円は同規模の小学校で約二十五校、最大で約八十校の建設費に相当する。

 また、防衛省は各地でトラブルが続いている米軍の輸送機オスプレイ四機を購入する方針で、金額は四百五十七億円に上る。

 安倍晋三首相は今回、衆院議員の任期を一年以上残して解散に踏み切った。千葉大の新藤宗幸名誉教授(行政学)は「選挙には多額の金がかかることもあり、四年間の任期を全うするのが本来あるべき姿だ。選挙をするからには、明確な争点を掲げることが求められる」と話した。

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