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そのネット報道フェイク! 記者ら検証スタート

2017年10月7日 紙面から

 偽の情報を含むインターネット上の「フェイク(偽)ニュース」を検証し、正誤を判定する大学と記者のプロジェクトが衆院選を契機に始まった。参加する記者らがファクトチェック(事実確認)をする仕組みで、衆院解散の九月二十八日から今月七日までに二件がフェイクニュースと判定された。

 プロジェクトは、法政大社会学部の藤代裕之准教授と日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)が企画。事実関係が疑わしい記事を同大の学生有志九人が選別し、メールで報告を受けた新聞、テレビ、ネットメディアなど十八社の記者が関係先に取材して検証する。本紙からも参加している記者の三人以上が「事実と異なる」と判断した場合、フェイクニュースとしてネット上で公表する。

 これまでフェイクニュースと判定された二件のうち、一件は「辻元清美が『大発狂』とネットで話題に」と題した投稿。大阪10区から立憲民主党で出馬予定の前職辻元清美氏が「突然、意味不明の言葉」を発したと記されていたが、五人の記者が「大発狂した事実はない」と判断した。

 この投稿は現在もネット上に残っているが、タイトルから「大発狂」の文字は削除されている。閲覧者は三日時点で約十五万八千人とされている。

 もう一件は、宮城5区から無所属で出馬する前職安住淳氏が、希望の党の公認を得るために「憲法改正は前から賛成だ」と「変節」したとするネットサイトの記事で、三人の記者が「変節はしていない」と判定した。これらの二件はいずれも、記者が前職議員の事務所などに確認し、判断の客観性を担保したという。

 藤代准教授は「ソーシャルメディアを流れる不確実な情報はかなりの量。大半は検証されないまま、拡散している状況が明らかになってきた」と指摘。「判定を積み重ねていくことで、国内のフェイクニュースの実態や傾向が明らかになっていくのではないか」と話している。

 フェイクニュースの検証は投開票日の二十二日まで続ける。ホームページ=http://jcej.hatenablog.com/=で閲覧できる。

 <フェイクニュース> 事実とは異なる情報がニュースのように編集され、インターネットなどに掲載されたもの。政治的な目標を達成するためやアクセス数増加を狙って発信されることが多い。昨年の米大統領選では「ローマ法王がトランプ氏の支持を表明」「クリントン氏が『イスラム国』(IS)に武器を売却した」などの誤情報が拡散し、有権者の投票に影響を与えたとされる。

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