希望の党が３日発表した１次公認のリストからは、自民党や立憲民主党に対するスタンスと選挙戦略がうかがえる。安倍晋三首相やその側近の選挙区に対抗馬を擁立することで対決姿勢を鮮明にした。安倍政権打倒を目指す以上、野党同士の競合は不利だが、民進党から希望の党に合流しない立憲民主党にも対抗馬をぶつけた。一方、希望への参加を見送り無所属で立候補する野田佳彦元首相らには現時点で対立候補を立てなかった。

　希望の党が一次公認したのは、小選挙区（定数二八九）に百九十一人。全体の６５％程度だが、首相が地盤とする山口４区に新人の元会社員の男性を、菅義偉（すがよしひで）官房長官の神奈川２区には新人の会社役員女性を擁立する。首相の盟友の甘利明元経済再生相、萩生田（はぎうだ）光一・自民党幹事長代行、下村博文・元文部科学相の選挙区にも新人をぶつけた。

　同じ日本新党出身で小池百合子東京都知事と近いとされる鴨下一郎自民党都連会長の選挙区には一次公認で候補者を立てなかった。

　枝野幸男元官房長官が結成した立憲民主党に対しては、枝野氏をはじめ、長妻昭元厚生労働相、赤松広隆元衆院副議長らの選挙区に軒並み候補者を擁立した。

　立憲民主党の関係者によると、希望の党側は民進党から立憲民主党への参加者を切り崩すため「無所属での立候補なら対抗馬を立てない」と圧力をかけていたという。実際、無所属での立候補者には一次公認で対立候補を立てていない。

　都政で小池氏を支持してきた公明党が候補者を出す全九選挙区には、対抗馬を立てない方針。東京と大阪での候補者すみ分けに合意した日本維新の会の地元大阪でも候補擁立を見送る。

　（木谷孝洋、吉田健一）