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「お騒がせ議員」国民どう選別? おわび行脚に批判と声援

2017年10月3日 紙面から

 衆院選公示が近づき政界がますます騒がしくなる中、既婚者との交際疑惑や失言、金銭トラブルなどで世間を騒がせた中部地方の立候補予定者たちは、地元の選挙区でおわび行脚を続けている。街頭で厳しい声が飛ぶこともあり、口から出るのは反省や謝罪の弁。そんな「お騒がせ議員」に有権者の判断は?

■交際疑惑

 「総理に物言う女性議員として、私を引き続き使ってください」。愛知県瀬戸市の名鉄尾張瀬戸駅前で二日、愛知7区の無所属前職山尾志桜里さんが声を張り上げた。既婚男性との交際疑惑が週刊誌に報じられ、民進を離党。「政治家として未熟だった」と支援者に謝罪しているが、男女関係は一貫して否定する。

 駅前では自民前職の陣営に出くわした。「地元で生まれ育ったまじめな鈴木淳司です」と皮肉まじりの声が飛ぶ中、一人でも多く握手しようと走り回る。ちらしを受け取った男性会社員(34)は「無所属で頑張るというので注目している」。女性会社員(28)は「あまりいいイメージがないし、説明しきれていない」。

 民進は、希望の党への合流や公認問題の「選別」、リベラル派の離脱などで揺れ動く。山尾さんは「無所属で良かったと今、心底思っている」。活動を手伝う民進地元議員は「党のごたごたに巻き込まれず、ラッキーだった」とも。

■長靴

 昨年九月、岩手県の台風被災地でおんぶされて水たまりを渡り、その後「長靴業界はもうかった」と発言、今年三月に内閣府・復興政務官を辞任した長野2区の自民前職務台俊介さん。長野県安曇野市での後援会の会合で「皆さま方の献身的なご支援を伏してお願い申し上げます」と頭を下げた。

 集会や支援者を回ってきたが「影響は続いている」。街頭に立てば「長靴発言」を指摘されることも。拡声器を手に「『反省しろよ、務台俊介、でもやっぱり務台俊介』。そう思ってもらえるよう頑張ります」。

■PKO日報

 「すみません。ご心配をおかけしました」。南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報隠蔽(いんぺい)問題で防衛相を辞任した福井1区の自民前職稲田朋美さんは、福井市内の秋祭りで繰り返し頭を下げた。

 福井県産の眼鏡に黒のズボンとスニーカー姿で、華やかさは封印。支援者の男性(82)は「覇気がなく、こんなに謝る姿は初めて」。街頭で「福井の恥!」と罵声が飛ぶこともあるが、人気は高く、イベント会場では記念撮影を求められる。

■役所原稿

 愛知10区の自民前職江崎鉄磨さんは八月、沖縄・北方担当相への就任直後、「国会答弁で立ち往生しないため、役所の原稿を朗読する」と発言、批判を浴びた。一宮市の事務所開所式では「皆さんに恥ずかしい思いをさせ申し訳なかった」と陳謝。「これからは言葉を慎まなければ」

 街頭演説では、テレビ番組の「世界のあしき人物」というランキングで米国のトランプ大統領や北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長を上回ったエピソードを冗談交じりに紹介。拍手や笑い声、声援が飛んだ。

■未公開株

 二〇一五年八月、未公開株購入の「国会議員枠がある」と知人に出資を持ちかけたと週刊誌に報道され、自民を離党した滋賀4区の無所属前職武藤貴也さん。「事実と異なる」と、この知人らを相手に起こした民事訴訟が、知人側が謝罪することで和解したという。

 九月下旬、復党願を出したが、自民は既に元県議を擁立。「無所属で頑張る」と言うが、ある支援者は「相当厳しい選挙」。街頭には立たず、あいさつまわりが中心だ。

 (衆院選取材班)

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