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「立憲民主党」結成 枝野氏「理念譲れない」

2017年10月3日 紙面から

 「立憲主義、民主主義を守る」「政治家にとって理念、政策は譲れない」−。民進党の枝野幸男代表代行は2日、東京都内で開いた立憲民主党の結党会見で、小池百合子東京都知事が率いる希望の党とのスタンスの違いを強調した。

 百人以上の報道陣が詰め掛けた都内のホテル。枝野氏は、やや高揚した声で「希望の党の理念や政策は私たちと異なる」「安倍晋三首相の掲げる九条改憲は賛成できない」と訴えた。「民主、民進党で積み上げてきた理念、政策を、自信を持って訴えていく」とも主張。希望との合流に進み、たもとを分かつことになる前原誠司代表らに対し「本流」意識をのぞかせた。

 質疑では、リベラル系前職の「排除」を進める小池氏について質問が続いた。枝野氏は、明確な批判は避けながら「こういった結果になったことは大変、残念」「残念なプロセス」と繰り返し、悔しさをにじませた。

 九月初旬の党代表選後に結束を確認してから、わずか一カ月での分裂騒ぎ。枝野氏は一瞬、天井を仰ぎ「新たな出発をすることは大きな可能性があり、ピンチはチャンスと受け止めている」と話した。

◆党名、能動的な響き

 <旧民主党のイメージ戦略に関わったコピーライター岩永嘉弘さんの話> 「立憲民主党」はリベラル派の政治的立場や理念を端的に表した、いい党名だとは思う。「立憲」も「民主」も使い古された言葉だが、能動的な響きがある。改憲派との主張の違いを鮮明にしたと言える。もちろん、党名だけで広範な有権者の受け皿になれるわけではない。一度失った信頼を取り戻し、今回の分裂騒動による混乱の影響を少しでも払拭(ふっしょく)するには、確かな政策を訴えていくほかはない。

◆もはや「政治ショー」

 <愛知学院大の森正教授(政治学)の話> 立憲主義を表明することで、昨年の参院選での野党共闘の枠組みを再現しようとの意図を感じるが、新たな選択肢が示されたと見るのは疑問だ。有権者にとって、もはや今回の選挙は「政治ショー」の記憶しか残らず、今後の政策論争も「とってつけたようなもの」としか映らないのではないか。「排除」された人たちが生き残りをかけて新党に走る動きは、二〇〇五年の郵政選挙で郵政民営化への反対勢力がつくった国民新党と同じ。既視感しかない。

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