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消費税10%是非争点 衆院選構図固まる

2017年10月3日 紙面から

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 自民党が二日に衆院選の公約を発表し、小池百合子東京都知事が率いる「希望の党」などの勢力、民進党の枝野幸男代表代行が立ち上げる「立憲民主党」などリベラル勢力との「三極」間で政策の違いが浮き彫りになった。特に消費税は、増税分の使途以前に、税率引き上げ自体の是非が争点になる。憲法や原発なども主張が異なり、対立軸は明確だ。

◆消費税

 消費税について、自民の公約は二〇一九年十月に予定通り8%から10%に引き上げると明記。増税分の使途を見直し、幼児教育無償化などの財源に充てることを掲げた。

 希望の結党前、民進の前原誠司代表も一九年十月の増税を前提に使途組み替えを提唱していた。ところが民進は希望や立憲民主に分かれることに。両党とも一九年十月の増税は凍結・反対の立場。三極では自民が予定通り増税を主張する形になり、衆院選で是非を争うことになった。

 消費税増税の主張は、過去の国政選挙でマイナスに働いてきた。自民の岸田文雄政調会長は公約発表の記者会見で「責任政党」という言葉を多用。「アベノミクスで10%が実現できる経済環境を整える」などと強調した。

◆9条改憲

 「関心を持ち、考えてもらうためにも、目に付きやすい形で示すことが必要だ」。岸田氏は、改憲を重点項目に位置付けた理由を、こう説明した。焦点の九条改憲では、安倍晋三首相が訴える「自衛隊の明記」だけを盛り込んだ。

 希望も改憲には前向き。地方自治を定める八章に重点を置くが、九条も議論は否定していない。

 一方、リベラル勢力は九条改憲に反対の姿勢。枝野氏は、立憲民主の旗揚げを発表した二日の会見で「首相の『自衛隊加憲論』は、安全保障関連法の違憲部分を追認することになり、許されない」と訴えた。

◆原発

 自民は公約に原発再稼働を明記。岸田氏は、原発の存廃は経済への影響も勘案して判断すべきだとした。

 これに対し、小池氏は二日、本紙のインタビューで、三〇年までの原発ゼロを「どうやって可能とするか考えたい」と工程表策定に意欲を示した。枝野氏も、原発ゼロに向け工程表を早期に示す考えを表明した。

◆安全保障

 自民は、安倍首相が総裁として臨んだ一二年衆院選以来、初めて選挙公約の冒頭に外交・安保政策を据えた。安保法の「能力向上加速」も掲げる。希望も、安保政策は「リアル(現実的)に考える」ことを候補者選別の基準にしている。

 リベラル勢力は、市民団体との合意も踏まえ、安保法は違憲として白紙撤回を求めている。

 (生島章弘)

主な政党の公約

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