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全国

「希望ゆきわたる国」…困る 公明がスローガン差し替え

2017年10月2日 紙面から

 衆院選を前に新党「希望の党」が結成されたことで、公明党に思わぬ影響が出ている。公明が掲げるスローガン「希望が、ゆきわたる国へ。」が、まるで希望の党を応援する内容に受け取られかねないからだ。このスローガンは全国の街頭に張られた政党ポスターなどに大きく書かれている。公明党は衆院選用に新しいスローガンをつくり、ポスターも張り替えることにした。

 「希望が…」のスローガンは昨年の参院選から使われ、現在も政党ポスターや演説会のビラに、山口那津男代表の写真とともに載っている。

 三重県鈴鹿市の公園で一日に開かれた街頭演説会に登場した街宣車は、天井の両側にスローガンを書いた大きな看板が掲げられていた。聴衆の側は演説した人たちの名前の垂れ幕で隠れる形になったが、反対側はそのまま露出していた。

 比例代表の立候補予定者の応援演説をした魚住裕一郎参院議員会長は、演説後の取材に「まずいでしょう。希望じゃなくて公明がゆきわたらないと」と苦笑いした。

 党本部によると、新しい衆院選のスローガンは「教育負担の軽減へ。」。希望の党が結成された翌日の九月二十六日に開いた両院の役員会で決定した。このスローガンを入れた新しいポスターも作っている。今回「希望」の文字が消えたことについて、広報担当者は「重点施策をフレーズに採用しただけで他党は関係ない」と話す。

 一方、党三重県本部の幹部は「『希望』のスローガンもこのまま衆院選で使うつもりだった」と明かす。「しかし、こうなると従来のポスターをそのまま張っておくわけにはいかない」と、街頭の政党ポスターの張り替えを順次進めるつもりだ。

 公明は二〇一三年の参院選でも「安定は、希望です。」というスローガンを使用するなど「希望」がお気に入り。党関係者は「庶民の小さな希望を政治に届けるという思いで、使ってきたのではないか」と話す。

 希望の党は公明が重視する比例代表でライバルとなる可能性が高い。魚住参院議員会長は「希望はイメージでしかない。われわれはもっと具体的な政策を示す。イメージだけで希望の党を選んだら大変なことになる」と訴えた。

 (衆院選取材班)

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