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リベラル勢力、動向注視

2017年10月2日 紙面から

 衆院選でともに「保守」を掲げる自民党と希望の党の対決姿勢が強まる中、希望から排除される可能性がある民進党リベラル系前衆院議員らの動向に注目が集まっている。自民と希望は憲法改正をうたっており、護憲派の有権者は投票先に頭を悩ませる。そもそも日本政治でリベラルとはどんな勢力なのか。専門家に聞いた。

 戦後の日本政治は「55年体制」と呼ばれる自民党政権が続いた。国際医療福祉大の川上和久教授(政治心理学)は「その中でリベラルとは、自民の半分ほどの勢力を保った旧社会党に代表される護憲、反日米安保、反自衛隊の主張を指した」と指摘する。

 55年体制が終わり、1994年に自民などとの連立で、旧社会党の村山富市氏を首相とする内閣が成立。村山氏は自衛隊を合憲とし、日米安保も肯定した。川上氏は「現実の政権運営を担うと、反安保などの主張は貫けない。中途半端なリベラルになり、支持者は分散した」と語る。

 川上氏は、欧州のリベラルと呼ばれる勢力は「高福祉・高負担」を掲げ広い支持を集めている点に触れ「日本は基本的に『中福祉・中負担』。保守との対立軸は憲法などになりがちだ」と指摘。今度の選挙について「福祉政策を含め、自民・希望と対立し『本当のリベラルはこうだ』という旗を立てれば、それなりに票が集まるのでは」と分析した。

 千葉大の小林正弥教授(政治哲学)も「本来のリベラルとは、米民主党のような福祉や社会的公正、人権の重視、富の再分配といった価値観を持つ。伝統や全体の利益より、個人の尊重という軸がある」と語る。

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