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「消費税を子育て支援に」 首相争点化、野党は反発

2017年9月25日 朝刊

 安倍晋三首相は二十五日、官邸で記者会見を開き、臨時国会冒頭の二十八日に衆院を解散する意向を表明する。二〇一九年十月に消費税率を8%から10%へ引き上げる際、税収の使途を国の借金返済から子育て支援策に変更する方針を掲げて信を問う。政府は使途見直しで二兆円近くを子育て支援に振り向ける調整に入った。衆院選日程は「十月十日公示−二十二日投開票」の予定。民進党など野党は森友、加計(かけ)学園問題の「疑惑隠しの解散」と批判を強めた。改憲や首相の政治姿勢も争点となりそうだ。

 自民党の萩生田(はぎうだ)光一幹事長代行は二十四日のNHK番組で、消費税の税収使途変更に関し「国民に信を問う必要がある」と強調。財政規律が緩むとの懸念に関し、基礎的財政収支(プライマリーバランス)を二〇年度に黒字化する財政健全化目標だけを重視する必要はないとの認識を示した。衆院選の勝敗ラインは自民、公明両党で過半数(二百三十三議席)とした。

 民進党の前原誠司代表は二十四日の党会合で、森友学園の国有地取得に関する会計検査院の調査報告や、加計学園の獣医学部新設の認可判断が十月にも出ると指摘し「首相は結局、逃げているのではないか」と語った。

 大島敦幹事長はNHK番組で、消費税税収の使途変更に関し「一四年の総選挙では増税延期が争点だった。消費税の使い方が争点と言うなら前の選挙は何だったのか」と争点化を問題視した。

 消費税率を10%とすると年五兆八千億円程度の増収が見込まれる。現在は一兆四千五百億円を子育て支援や医療、年金など「社会保障の充実」に充てて、残りを借金の穴埋めに使う計画。子育て支援にさらに二兆円近くを充てると、その分、財政は悪化することになる。

 公明党の斉藤鉄夫幹事長代行は、消費税税収の使途変更に理解を示した。共産党の小池晃書記局長は「教育や子育てを口実にした党略だ」と反発。日本維新の会の馬場伸幸幹事長は「増税凍結で信を問いたい」とした。自由党、社民党もそろって解散判断を非難した。

 憲法問題を巡り、萩生田氏は自民党の改憲案を年内にまとめ、来年の通常国会に提示する考えを示した。大島氏は「首相の解散権を縛る議論を始めている」とした。民進、共産、自由、社民の野党四党は、自衛隊の存在を九条に明記する首相の提案に反対する。

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