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富山

三つどもえ 聞き比べ 富山1区ルポ

2017年10月19日 紙面から

 投開票まで残すところあと4日となった衆院選。「改憲」「加憲」を含めて各党が公約に掲げる憲法は、大きな争点の一つ。自民をはじめ、野党各党は憲法問題をどう語っているか。富山県内に秋風が吹き抜けた18日、富山1区に立つ候補者の訴えを追った。

外交と安全保障を強調 

自民・田畑さん

 「外交と安全保障が国政の1丁目1番地だ」。自民前職の田畑裕明さん(44)は、富山市内の選挙事務所で開かれた、支援者による総決起集会でこう強調した。

 安全保障は改憲とも密接に関わるが、言及しなかった。公明党との合同演説会、4回の個人演説会でもひと言も触れなかった。この日はほかに施設回りに時間を費やした。

 田畑さんは「演説会は時間が限られている。言うべき場所ではしっかり言うが、きょうは他のことを訴えたかった」と説明。「9条への自衛隊の明文化はしっかり議論して前に進めるべきだ」と続けた。支援者の男性(73)は「政権が続いたら(憲法は)どうなるか聞きたかった」と不安もこぼした。 (山中正義)

公務員の人件費見直し

維新・吉田さん

 維新前職の吉田豊史さん(47)は富山市内4カ所で街頭演説し、2カ所で個人演説会を開催。個人演説会で9条の改憲について「自衛隊が違憲となっていて良いのか。各政党が丁寧に話し合い、落としどころを探っていくべきだ」と述べた。

 一方、街頭では9条改憲に言及せず。吉田さんは取材に「最後まで聴いてもらえないと誤解を招く恐れがある」と理由を説明した。

 党公約の改憲項目の一つである教育無償化について説明。街頭では無償化の財源として国家、地方公務員の人件費見直しを繰り返し訴えた。

 演説を聴いた70代の男性は「公務員の大幅な人件費カットは大阪以外では難しいのでは」と実現性を不安視した。 (山本真士)

9条改憲の自・希・維批判

共産・青山さん

 共産新人の青山了介さん(42)が富山市内の県道沿いや住宅街など街頭に立ったのは計17回。それぞれ10分ほどの演説を繰り返し、安倍政権が目指す改憲や消費税増税に重点を置き、反対の声を上げた。

 憲法では、自衛隊を明記する9条改憲を掲げる自民や希望、維新を批判。ミサイル発射を繰り返す北朝鮮問題を念頭に置きながら「対話への努力が必要なこの時期に、9条ほどふさわしいものはない」と訴えた。消費税は増税凍結を主張した。

 演説を聞いた男性会社員(50)は「ぶれない姿勢は評価したい」と話す一方、「憲法や消費税など、自民党の否定ばかり。実現可能な対案を示してほしい」と話した。 (向川原悠吾)

主な政党の公約

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