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富山

疑問 説明してますか 富山3区ルポ

2017年10月13日 紙面から

 衆院選で支持を呼び掛ける候補者たちは、有権者の疑問に応えているのか。自民党に対しては森友・加計(かけ)学園問題に安倍晋三首相が説明責任を果たしていないとの批判がくすぶる。反安倍政権を訴える野党では、改憲や安全保障関連法に賛同する立場の希望の党が、反対の立場だった民進党からの候補者を抱え、それぞれに説明責任がある。富山3区に立つ候補者たちに十二日密着し、訴えに耳を傾けた。(武田寛史、山森保、山本拓海)

3極対立の構図

 富山3区は、四選を目指す自民前職の橘さんに、県内選挙区で唯一の希望新人の柴田さん、市民との野党共闘を掲げる共産新人の坂本さんが挑む。自民・公明、希望・維新、共産・社民・立憲の三極が対立する構図。

 橘さんは六市で出陣式を行い、毎日三会場で個人演説会を重ね、企業回りにも余念がない。柴田さんは選挙カーに乗り込み、街宣活動と会社訪問に力を入れ、支持拡大を図る。坂本さんは一日約二十カ所で街頭演説。マイクを握り続け、草の根運動を展開している。

森友・加計問題話さず

自民・橘さん 

 自民前職の橘慶一郎さん(56)は企業回りの合間に、高岡市下伏間江で公明党との合同街頭演説に臨んだ。「自公連立政権の絆」と「地方創生、間違いのない国づくり」を強調したが森友・加計問題には触れず。市内三カ所で開いた夜の個人演説会も地方創生が主で、ここでも話さなかった。

 橘さんは演説会後の取材に「出陣式では『通常国会で不信感が高まった部分があり、初心に帰らなければならない』と話した。地方への思いが強く、地方創生の話にシフトしてしまったが、思いとしては不信感は払拭(ふっしょく)しないといけないと考えている」と説明。また「総理が示す教育政策の充実は演説に入れているが、これから議論が必要な改憲は、演説ではっきり言えない部分もある」と話した。

改憲、安保法言及なく

希望・柴田さん

 希望新人の柴田巧さん(56)はこの日企業回りなどが主で、街頭演説は高岡市二塚での一カ所のみ。消費増税の凍結、原発ゼロを訴えたものの憲法改正や安保関連法への言及はなかった。

 昨年の参院選比例代表は民進から出馬し、落選。本人は「重点を置く公約について話した。意図的に避けたわけではない」と説明。「憲法改正は持論であり、安保法制に対する希望の党の公約にも違和感はない。自民の対立軸として存在感を強く打ち出していきたい」と話した。街頭演説では「自民はしがらみや既得権益にまみれ、痛みを伴う改革ができない」と批判。加計学園や森友学園問題、さらに臨時国会冒頭の解散に対して国会、国民軽視の暴挙と訴え、自民に代わる保守政党が必要と主張した。

自民、希望双方を批判

共産・坂本さん

 高岡市や小矢部市の住宅街、県道沿いなど約二十カ所で演説した共産新人の坂本洋史さん(47)。「1%の富裕層のための政治から、99%の市民のための政治へ一緒に進んでいこう」と高岡市千石町の道路沿いなどで主張を展開し、道行く車に手を振り支持を求めた。

 今回の解散総選挙を「森友、加計学園疑惑にふたをするための安倍首相の職権乱用だ」と批判。新党が生まれては消えを繰り返した結果、「政治は国民に不信を買っている」と指摘し、希望の党に対しても「自民党と向かう方向が同じ。その先は絶望しかない」と厳しい口調で訴えた。

 非正規労働者の正規雇用や最低賃金の引き上げなどを掲げ、「暮らしを底上げすれば経済を立て直せる」と力を込めた。

主な政党の公約

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