富山
2017年10月11日 紙面から
季節が逆戻りしたような暑さの中、政権選択の戦いが幕を開けた。十日公示された衆院選。憲法、安倍政権の四年十カ月、原発、暮らし…。争点が多岐にわたる中、候補者たちは初日に何をどれだけ訴えたのか。自民前職、維新前職、共産新人の三つどもえの戦いとなった富山1区で、第一声と午後一回、最後の計三回、候補者の街頭演説における時間配分を調べると、浮かんできたのは−。=上から届け出順
自民前職の田畑裕明さん(44)は、厚生労働大臣政務官としての立場から、社会保障や働き方改革に重点を置いて演説した。社会保障は全体の27%に及び、年金や医療・介護保険に言及。「抜本的な見直しが必要で、国民的な議論をしないといけない」と訴えた。
15%を占めた働き方改革は「経済のイノベーションを起こす起爆剤」と表現。「誰もが能力を発揮できる柔軟な働き方を政・労・使が協議しながら道を切り開く」と力強く語った。
消費税引き上げにも全体の16%を割き、「安定財源として国民生活の福祉向上に欠かせない」と強調。増収分は「社会保障の経費だけでなく、教育の無償化に充当する判断を有権者に問いたい」と理解を求めた。
維新前職の吉田豊史さん(47)は消費税増税の凍結を訴え、安倍政権との違いを際立たせた。
最も多い21%の時間を割いたのは教育費の無償化。安倍政権の看板政策となっていることを踏まえ、「維新は教育無償化の老舗」と自分たちが先駆者であることを訴えた。
消費税にも17%を割き、増税分を無償化の財源に充てる政権の方針に「消費税を上げて大丈夫なのは東京だけ。富山で生活をする人は良いわけがない」と批判。財源は国家予算の見直しで捻出できるとした。
党が連携する希望にも繰り返し言及。「希望の風に乗った改革に期待を」との言い回しで支持を求めた。解散の妥当性を中心に政権批判も展開した。
憲法に最多の24%を割いた共産新人の青山了介さん(42)は「改憲を掲げる自民と維新に願いを託しても平和や暮らしは守れない」と強調し、1区唯一の護憲派をアピール。北朝鮮情勢にも触れ「憲法を変えれば、緊張を高めることにつながりかねない。対話による平和的な解決を」と訴えた。
民主青年同盟や子育ての経験を交え、21%を費やして社会保障の充実を訴えた。「軍事費や公共事業を削減して、暮らしの支援を拡充させる」と力説。消費税増税の中止も訴えた。
演説冒頭で一貫して述べたのは、安倍政権の政治姿勢への批判だ。安保法制などを強行採決したことを「民意に背を向け、民主主義と憲法を踏みにじった」と指弾した。