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静岡

検証総選挙<下> 敵失勝利に自民は複雑

2017年10月25日 紙面から

 「野党の混乱のおかげと言うのも変だが、敵失によって自公は勝った」。次点に十万票近い大差で五選を果たした静岡7区の自民前職城内実さん(52)は、当選確定の報を受けた後のインタビューで、勝因についてそう分析した。

 自民は県内八小選挙区で前回選と同じ六議席を獲得した。公示直前の野党第一党の民進党の分裂で、県内でも民進が希望の党と立憲民主党、無所属と分散して戦い、自民関係者も「漁夫の利」の形の勝利であることを認識している。城内さん陣営の幹部は「公示後もポスターを張っていないところがいくつもあった。相手が民進候補なら考えられないことだ」と語る。

 選挙期間中に党三役らを相次いで投入するなど、自民が「最重点区」と位置付けた6区では、比例前職の勝俣孝明さん(41)が希望前職の渡辺周さん(55)に迫るも、三たび敗れた。

 6区で選対副委員長を務めた多家(たが)一彦県議は選挙戦を通じ「追い風もなければ、逆風もなかった」と振り返る。六百三十一票まで迫った要因については「連合静岡の力は弱まっている。一時の連合の力はない」と分析した。

 希望が失速する中、渡辺さんに負けた要因は何か。勝俣さんの別の選対幹部は「森友・加計(かけ)問題は終わっていないという声はよく聞いた。安倍政権への批判はあった」と説明した。

 8区の自民前職塩谷立さん(67)は前回選より票を伸ばしての勝利だったが、希望新人源馬(げんま)謙太郎さん(44)の比例復活を許した。選対幹部は「争点もなく難しかった選挙。希望の失速がなければもっと追い込まれるという危機感があった」と振り返る。会合に出席する公明党関係者の数は前回選よりも多かったという。

 全小選挙区で自民前職を支援した公明。県内関連では比例単独の前職大口善徳さん(62)が比例東海ブロックで八選を決めたが、ブロック全体では議席を三から二に減らした。党県本部の高田好浩幹事長は「与党大勝の情勢も報じられ、新党に票が流れてしまったのは残念」と語った。

 衆院選で勝利した自民だが、六月の知事選では候補者の擁立すらままならず、盤石と言える状況ではない。投開票翌日の二十三日に会見した自民県連の中沢公彦幹事長は言う。「(一九九六年の)小選挙区導入後、組織力が低下して今も影響がある。地域密着・地域連携の自民党であることに立ち返らないといけない」 

(衆院選取材班)

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