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静岡

自民圧勝に県内経済界の声  

2017年10月24日 紙面から

 衆院選の自民党圧勝を受け、静岡県内の経済団体や企業トップは二十三日、大手を中心に業績が上向いていることを踏まえ、アベノミクスのさらなる推進を要望した。一方で、人手不足などに悩む中小企業や個人事業者からは、景気回復の実感が乏しいことから厳しい声も上がった。

◆大手経営者 政策を評価 推進を要望

 スズキの鈴木修会長はアベノミクスについて「一定の成果を挙げている」と評価した上で、森友・加計(かけ)学園問題を念頭に「安倍さんは身辺の人間関係をきれいにして、経済政策をしっかりと進めてほしい」と話した。安倍政権が二〇一九年十月に消費税率を10%に引き上げ、増税分の一部を幼児教育無償化などに充てる方針を示していることには「財源は限られている。美辞麗句を並べてあれもやる、これもやるというのではだめだ」と指摘した。

 県経営者協会の中西勝則会長(静岡銀行会長)も「野党の敵失による部分も大きいとはいえ、これまでの経済政策など安倍政権への評価を示したものといえよう」と前向きに受け止める。ヤマハ発動機の柳弘之社長は「ものづくりを強みとする日本企業がグローバルに成長できるための施策を力強く実行してほしい」と要望した。

 浜松商工会議所の大須賀正孝会頭(ハマキョウレックス会長)は「政界ではさまざまな動きがあったが、選挙結果は日本国民の選択の結果であり、政権与党はこれを重く受け止め、政策推進に邁進(まいしん)してほしい」とコメントした。

◆金融・中小 マイナス金利、増税 心配

 これに対し、金融機関や中小企業は切実だ。

 日銀のマイナス金利政策で収益環境が悪化する金融機関の関係者は「最悪だ。安倍政権の続投でマイナス金利が続行することになり、貸出利息や有価証券の運用益が減少する。新たな収益源であるカードローンにも規制がかかりそうだし、八方ふさがり」と嘆く。

 静岡県中小企業団体中央会の諏訪部敏之会長(丸善工業会長)は「中小・小規模企業は人手不足、事業承継をはじめ、激しく急速な経営環境の変化に悩まされ、対応に苦慮している。地域経済の再生は道半ばで、現場の声を真摯(しんし)に受け止めてほしい」と切望した。

 消費税率引き上げに不安の声も。浜松市内の電子機器関連のベンチャー企業関係者は「財政問題があるので増税に理解はできるが、物を売る側としては正直厳しい」と吐露。「価格競争に巻き込まれないよう、他に例のない物をつくり出していきたい」と前を向いた。浜松市中区の飲食店経営の女性(33)も「お酒の仕入れ値が次々と上がっているけれど、値上げはできない状況。消費税も上がれば苦しさが増すばかり。個人消費がさらに冷え込むのでは」と険しい表情を見せた。

(衆院選取材班)

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