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静岡

検証総選挙<上> 分裂野党に連合も揺れ

2017年10月24日 紙面から

 二十二日投開票の衆院選で、静岡県内八小選挙区は自民党が前回選と同じ六議席を獲得し勝利した。公示前に誕生した希望の党は、県内全小選挙区に候補者を擁立するも、比例復活を含めて三議席にとどまった。県内の与野党対決の舞台裏を探り、選挙戦を振り返る。

 「3区は勝てた選挙。なぜ刺客を立てたのか。今も分からない」。投開票日から一夜明けた二十三日昼、民進党系の男性県議はこうこぼした。民進県連と連合静岡が支援する無所属前職の小山展弘さん(41)と、5区の細野豪志さん(46)が擁立を主導した希望元職の鈴木望さん(68)が激突した3区は、県内でも野党分裂の象徴区となった。

 共産党が擁立を見送った3区は、非自民の小山、鈴木両候補の合計得票が小選挙区で当選した自民前職の宮沢博行さん(42)の得票を二万四千票以上も上回った。県西部の民進党員は選挙結果を受け「(3区の分裂は)民進県連や地方議員に大きなしこりを残した。細野さんは道を大きく踏み外した」と嘆いた。

 小池百合子代表の「排除・選別」発言から、党勢が失速した希望。応援する地方議員や陣営関係者も風当たりの強さを感じた。細野さんに近い男性県議は「希望に向ける有権者の目は冷ややかで、罵声も浴びた」と振り返る。8区で落選し、比例復活した希望新人の源馬(げんま)謙太郎さん(44)は「最初に吹いていた風はやみ、最後は逆風を感じる選挙戦だった」と語った。

 野党が分裂して選挙戦に臨んだ結果、民進県連最大の支持母体である連合静岡も揺れた。中でも自治労県本部が、1区で落選し比例復活した立憲民主党新人の青山雅幸さん(55)の推薦を三月に決めたことで、連合静岡内部の足並みの乱れが顕在化した。

 青山さんの推薦について、自治労県本部の渡辺敏明執行委員長(連合静岡副会長)は「元県職員であることと、弱者救済を前面に出す姿勢に共感した」と話す。ただ推薦を出した三月、連合静岡は1区で民進公認(当時)の福村隆さん(54)の推薦を決定済み。渡辺委員長は「連合静岡としてはよろしくないのは承知の上。反旗を翻したイメージはあるだろう」と説明した。

 自治労県本部の決定に、連合静岡の中西清文会長は「1区は結果的に自主投票になったが、青山さんを応援したことは非常に遺憾。反組織行為と言える」と不快感をあらわにした。

 連合静岡は元々、企業の労組が中心の旧同盟系と、自治労などの旧総評系が一緒になった組織。今回の足並みの乱れに、民進系の男性県議は「組織が割れてほしくない。旧同盟系と旧総評系が分かれたら力が出しにくくなる」。

(衆院選取材班)

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