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静岡

静大AI 時事学び進化コピー

2017年10月21日 紙面から

AIがつくった衆院選のキャッチコピーを見ながら議論する狩野芳伸准教授(左)と学生=浜松市中区で

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 二十二日に投開票される衆院選を前に、静岡大情報学部の狩野芳伸准教授の研究室が開発した人工知能(AI)に、新たにキャッチコピーを作ってもらった。六月の県知事選での啓発コピーに続く試み。今回は中日新聞の記事テキストを学習させ、時事問題にも対応できるようにすると「良かった! 解散あった!」など、人間がドキッとしたり、思いつかなかったりするようなコピーを生み出した。

 「解散」「公約」「政権」「憲法」「投票」「増税」「ばらまき」の七つのキーワードでコピーを作成してもらい、計二千百個から選んだ。中日新聞社に掲載された一年分の記事データをAIに取り込むと、主語や述語を判断して短文のコピーが瞬時に量産された。

 とっぴな言葉の組み合わせが並ぶ中、「解散好きに告ぐ」は安倍晋三首相が臨時国会の冒頭で解散したことを皮肉るよう。「公約」と入力すると、AIがどう連想したのか「100メートルも、200メートルも、42・195キロも経済政策」と不思議なコピーが編み出された。狩野准教授は「公約から経済政策を連想している」と推測する。

 「乗ラーナ、政変!」や「憲法という、愛のビタミン」など、一見意味がわからないが何かを示唆するようなコピーも。中心となって開発した同研究室の四年岩間寛悟(かんご)さん(21)が気になったのは「初投票をどうぞ」。「自分も衆院選は初めて。これからずっと持てる権利の記念として、自分の思いを伝える投票にしてほしい」と話す。

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 AIの作るキャッチコピーは投票の啓発にも取り入れられる予定だ。浜松市浜北区では、県知事選の報道の一環で六月二十三日付本紙朝刊で報じた「当選人形は、もう止めよう」や「国民を休んでませんか」などのコピーを印字し、来年三月に高校三年生に配布することを検討している。担当者は「独自性があり若者が面白がってくれるかもと思った。選挙に興味をもってもらえれば」と話す。

 岩間さんは「AIは人間が気づかないところに注目してくれる。『皆が入れるから自分もここに投票しよう』など多数派に流されることを打破してくれるといい」と期待を寄せた。

(相沢紀衣)

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