静岡
2017年10月18日 紙面から
中日新聞社が十七日まとめた世論調査で、自民が優勢に戦っていることが明らかになった。自民、希望の対決構図に見える中、選挙区によっては民進出身の無所属や立憲民主の候補が割って入る。三割超が投票先を決めておらず、無党派層の動向や投票率次第で情勢が変わる可能性がある。=文中敬称略、投票日基準の満年齢、<前>は比例代表。
(衆院選取材班)
※グラフの重視する政策は、11項目から2つを選んでもらい、上位5項目を示した。小数点第2位で四捨五入のため、合計が100%にならない場合がある。
法相で六選を目指す上川が安定した戦い。小池、青山は反自民や無党派層の支持を食い合っている。鈴木は出遅れている。
上川は自民、公明両支持層のほとんどを固めた。主婦を中心に女性から共感を得る。六十代以上の高齢者からも高い支持を集める。
維新から希望に移った小池は希望支持層の大半を固め、十〜三十代の若年層や無党派層からの支持も広がっている。公示直前に立憲民主の公認を得た青山は立憲民主支持層に浸透、共産層にも食い込むが、無党派層の支持で小池に後れを取る。鈴木は共産支持層を固めきれていない。
支持政党別では自民が約三割。希望と立憲民主が競る。四割いる無党派層は、小池の支持が上川を上回る。
上川 陽子64 自前<5>
青山 雅幸55 立新
小池 政就43 希元<1>
鈴木 千佳46 共新
井林が万全で、他候補を引き離す。松尾は支持を集めきれず、四ツ谷も厳しい戦い。半数近くが投票先を決めておらず、浮動票の行方が注目される。
井林は党の組織力を生かして自民、公明支持層を手堅く固めた。無党派層にも浸透し、五割以上の支持を集める。職業別では会社員や公務員、主婦の半数以上から支持されている。
解散直前に民進を離党した松尾は希望、立憲民主支持層の大半を固めたほか、二十代の若年層や女性からも一定の支持があるが、広がっていない。四ツ谷は共産支持層の票を固めている。
有権者が重視するのは北朝鮮問題が最多。浜岡原発の半径三十キロ圏に掛かり、原発政策への関心も高かった。
井林 辰憲41 自前<2>
松尾 勉33 希新
四ツ谷 恵65 共新
三選を目指す宮沢が先行し、小山が後を追う。鈴木は伸び悩んでいる。
宮沢は自民、公明支持層の八割を取り込んでいる。男女とも若い世代を中心にすべての年代でリードするが、無党派層からの支持が弱い。
希望の公認を得られず無所属となった小山は、連合静岡の支援を受け、立憲民主や共産支持層の大半をまとめた。希望支持層の一部にも食い込んでいる。希望公認の鈴木は希望支持層を固めきれず、無党派層にも浸透していない。
中部電力浜岡原発が立地し、有権者の原発政策への関心が高い。投票で「原発」を重視する人の五割が宮沢、三割が小山を支持している。鈴木は一割にとどまる。
鈴木 望68 希元<1>
宮沢 博行42 自前<2>
小山 展弘41 無<前><2>
八選を目指す望月が大きくリード。新人の田中、松原が追う展開となっている。
望月は投票先を決めた人のうち、自民支持層の大半と公明支持層の半数以上を固めた。三十代以上の世代から支持を集め、特に六十代以上に浸透している。職業別でも会社員や農林漁業など幅広く支持されている。
田中は希望支持層のほとんどを固め、立憲民主、協力関係の維新からも支持を集めるが、無党派層の取り込みは限定的で、他の支持層に広がっていない。年代別では二十代からの支持が顕著となっている。
松原は共産支持層の半数を固めたが、苦戦している。
重視する課題は「消費増税への対応」が四割と最も多かった。
松原 聡55 共新
田中 健40 希新
望月 義夫70 自前<7>
希望の党の設立メンバーである細野は他候補の応援で全国を飛び回るが優位に立つ。過去二度苦杯をなめた吉川が追い、井口は出遅れている。投票先を決めていないのは二割。
細野は希望支持層を固めたほか、支持政党を持たない無党派層に浸透。自民支持層にも一部食い込む。憲法九条の改憲に否定的な層も取り込んでいる。
吉川は若い世代の支持が細野を上回り、改憲に積極的な層からも支持を集めている。
課題別に見ると、加計(かけ)問題など安倍首相の政治姿勢を注視する層の多くは細野を支持。一方、北朝鮮問題を懸念する層は吉川を推す。高齢者対策、原発への姿勢、経済活性化策を重視する層は、細野と吉川の支持が拮抗(きっこう)した。
吉川 赳35 自元<1>
井口 昌彦63 共新
細野 豪志46 希前<6>
前回は比例復活に甘んじた勝俣がややリードし、渡辺が猛追する。内田は支持を広げられていない。二割は投票先が未定。
勝俣は自民支持層をほぼ固め、公明支持層にも浸透。男女ともに渡辺を上回り、若い世代と高齢者、憲法九条の改憲容認派から支持を集めている。
渡辺は希望支持層のほか、無党派層、四十、五十代からの支持で勝俣を上回るが、主婦や無職の層にやや弱い。希望への支持が伸びていないことも劣勢の一因とみられる。
重視する課題では四割近くが北朝鮮問題を挙げ、うち六割が勝俣を推す。消費増税への対応では勝俣と渡辺が競り合っている。年金の充実など高齢者対策を重んじる層では渡辺が上回った。
内田 豊63 共新
勝俣 孝明41 自<前><2>
渡辺 周55 希前<7>
城内が独走し、続く日吉、福村が競り合い、野沢が追う。
城内はこの衆院選に万全の態勢で臨もうと、対立候補が決まる前から支援者の引き締めを図ってきた。自民、公明支持層を固め、他の党の支持層へも幅広く食い込む。
立候補表明が遅れた日吉、福村は知名度が低く、ともに所属政党の支持層を集めるものの、他への広がりがいまひとつ。野沢も共産支持層以外への浸透に苦戦する。
比例の投票先でも自民が大きくリードし、立憲民主と希望が互角に追う。盤石にみえる城内だが「加計学園問題など安倍政治」「原発ゼロ」「憲法」を重視する人の受け皿になれていない。「消費増税」「北朝鮮」では圧倒的支持を集める。
城内 実52 自前<4>
日吉 雄太49 立新
野沢 正司68 共新
福村 隆54 希新
塩谷が優位に進め、源馬が追う。嶋田は少し差を広げられているが、三割超が投票先を決めていない。
塩谷は公明支持層を固めたが、自民支持層の一部が源馬に食い込まれている。四十〜五十代は塩谷と源馬で支持を分け合う一方で、若年、高齢層は塩谷への支持が厚い。源馬は無党派層に浸透する。8区で憲法九条改憲に反対する唯一の候補として票の上積みを狙う嶋田だが、九条護憲派への広がりを欠く。
投票で重視する課題は全体で「消費増税」「高齢者対策」が多かった。だが塩谷支持層は高齢者、源馬支持層は消費税をより重視しており、自民と希望の公約の違いが鮮明となった。嶋田は「原発ゼロ」を重視する人から支持を得る。
源馬謙太郎44 希新
塩谷 立67 自前<8>
嶋田 初江69 共新