静岡
2017年10月17日 紙面から
中部電力が再稼働を目指す浜岡原発(御前崎市)を巡り、本紙が衆院選の静岡県内八小選挙区の候補者二十六人に、原子力規制委員会の審査に合格した場合の再稼働の是非をアンケートで尋ねると、希望、共産、立民の計十一人が「再稼働を認めず、廃炉にするべきだ」と答えた。一方で「再稼働をするべきだ」と回答したのは自民の一人のみ。「その他」が十二人で最も多かった。
再稼働に反対の理由としては、今後三十年以内に70%の確率で起きるとされる南海トラフ巨大地震の想定震源域に立つことへの指摘が特徴的だった。「その他」を選択した候補者のうち、自民の二人は「地震発生の確率が非常に高く、再稼働には慎重であるべきだ」「地震のリスクがあり、より慎重に検討すべきだ」と説明した。
中電は、出力の大きい4号機の審査を二〇一四年二月に申請。3号機もその後に申請した。二基とも、過酷事故が起きた福島第一原発と同じ沸騰水型炉。同型の柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)は再稼働に向けた審査で、適合とする審査書案がすでに了承されており、浜岡原発は後に続く形だ。
ただ、再稼働の前には地元同意の手続きが注目されそうだ。地元同意の範囲を聞くと、十人が「県と原発から三十一キロ圏以上で決め直し、その範囲の自治体」を選択。事故が広い範囲に及ぶ可能性があることを主な理由に挙げた。最多の十四人が答えた「その他」の理由の中にも、より広範な自治体の同意を求める考えが目立った。
一方で、「県と御前崎市」と答えた候補者はゼロだった。全国で再稼働した五基の地元同意の対象は基本的に、県と原発立地自治体だった。御前崎市も、この流れを主張する。
同市内の自営業の女性(61)は「同意の範囲を広げたら広げただけ、反対は増えるから、推進派は御前崎だけで決めたい」と指摘。「事故の影響が及ぶ周辺自治体の人から総攻撃を受けると思うので、広い範囲の自治体で決めた方がいい」と冷静に話す。
事故時にすぐに避難が必要な五キロ圏内に入る牧之原市は、地元同意の手続きの法制化が必要と考えており、この点についても質問した。六人が「法制化するべきだ」と答えた。四人が「(県と三十一キロ圏内七市町の)安全協定に盛り込むべきだ」を選択し、「(県と周辺四市の)安全協定に盛り込むべきだ」とした候補者はいなかった。十六人が「その他」と回答した。
(古根村進然)