• 中日新聞ウェブ
  • 中日新聞プラス

静岡

県内候補者アンケート<5> 「憲法改正」

2017年10月16日 紙面から

◆賛成派「分権など広く」 反対派「9条は堅持を」

写真

 安倍晋三首相が憲法への自衛隊明記を提案し「憲法改正」は衆院選の主要争点になった。共産などのほか、立憲民主が反対。安倍政権での改憲を否定しない勢力は自民、公明、維新などに希望が加わる構図となっているが、九条を巡る論議には温度差もある。中日新聞が静岡県内小選挙区の候補者二十六人に実施したアンケートでは、自民八人と希望七人の計十五人が改正に賛成し、共産、立憲民主、無所属の計十人が反対の立場を示した。

 賛成した十五人はいずれも「九条に限らず広く議論」の立場。選択肢にある「九条改正を先行して議論」を選んだ候補者はいなかった。希望の一人は「地方分権や健全財政から議論する」と理由を説明。自民の候補者でも理由に「自衛隊の明記」を触れた人は少なく「教育の無償化、参院選合区解消も議論すべきだ」との意見が出された。

 反対した十人の大半は「九条改正」「自衛隊明記」に対し「海外戦闘行為に道を開く」(共産)、「徴兵制導入の可能性がある」(立民)と批判。無所属の候補は「現行憲法で自衛隊は合憲と認められており改正する必要はない」と主張した。

 「その他」を選んだ希望の候補者は「平和憲法の性格は堅持し、地方自治の条項は改正を議論すべきだ」と説明する。

 安倍首相は二〇二〇年に憲法を改正する目標を掲げている。選挙の結果次第では、憲法改正の発議が近く出される可能性がある。

 市民団体「県平和・国民運動センター」の鈴井孝雄事務局長(68)は「憲法の行く末に関わる重要な選挙だ」と危機感をあらわにする。自衛隊の明記には「一項、二項を死文にし、平和条項を消すことになる」と反対。希望についても「民進党との合流の際に安保法への賛成を条件としている。九条改正を視野にいれた改憲勢力だ」と見る。

 保険会社で働く焼津市の男性会社員(37)は「何十年も前に作った憲法。時代に合わせて変えた方がいい」と改憲に賛成する。北朝鮮がミサイルを撃つ現状に「自衛隊を憲法に書いておかないと攻め込まれた時すぐに対応できない。何かあった時に国を守るのは自衛隊しかいない」と話し、自衛隊明記にも理解を示した。

(衆院選取材班)

主な政党の公約

新聞購読のご案内