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静岡

県内候補者アンケート<4> 「消費増税」

2017年10月15日 紙面から

◆「家計を直撃」懸念多数

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 二〇一九年十月予定の消費増税による増収分の使い方の変更を訴え、衆院を解散した安倍晋三首相。中日新聞社が静岡県内の八小選挙区の候補者二十六人に行ったアンケートでは、希望の党や共産党、立憲民主党など野党十一人が「増税自体をやめる」と回答した。自民党を含む九人も「凍結・延期」を選び、首相の方針に批判的な意見が相次いだ。

 増税反対の理由は「家計が大打撃を受ける」「景気回復を後退させる」など。景気情勢次第で増税を停止・凍結・延期できる「景気条項」の必要性を指摘する候補者もいた。

 凍結・延期を選んだ自民候補者からは「地域経済の回復を待つべきだ」「必要な社会保障関連費の議論が先」という意見が出た。

 消費増税で見込まれる財源から国の借金返済に充てる分を減らし、給付型奨学金の拡充や幼児教育の無償化を進める首相の方針に同調したのは自民候補の五人。「教育費の負担軽減は少子化克服のカギ」と次世代への投資を重視する意見がある一方、別の自民候補一人は「増税は必要だが使途は変更しない」を選び、財政赤字が続くことへの懸念を示した。

 有権者も職業や世代によって意見は異なる。磐田の喫茶店経営、内藤隆さん(64)は「増税でまたお客さんが離れたら困る。死活問題だ」と憤る。三年前の8%への増税時、初めて商品価格を一割値上げした。一杯三百八十円のコーヒーが四百二十円に。客足に影響した。「さらに2%もらえない。自分が泣くしかない。売り上げが落ちたら店をやめるしかない。小さい店を苦しめるための政策のようだ」と嘆いた。

 一方、静岡市清水区の県立大経営情報学部三年小野航汰(こうた)さん(21)は「借金はいつか返さないといけない。増税は仕方ない」と受け止める。ただ、「使い道を問うのは今じゃない」と安倍首相の争点化を批判。奨学金を利用する友人もおり、教育支援の拡充は必要と考えるが「国民一人当たり八百万円の借金を返すのは大変。増税分の使い道について国民全体での議論が足りない」と話した。

(衆院選取材班)

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