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静岡

自民と希望の二極対立 静岡大・日詰教授に聞く

2017年10月13日 紙面から

◆若者政策が投票率の鍵

衆院選の争点などについて語る静岡大の日詰一幸教授=静岡市駿河区で

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 突然の解散、新党立ち上げと、公示まで目まぐるしく動いた衆院選。各候補者はようやく腰を据えて政策を戦わせ始めた。有権者は何を基準に投票すればいいのか。自民党、希望の党が八小選挙区すべてで直接対決する県内の情勢は。静岡の政治に詳しい静岡大人文社会科学部長の日詰一幸教授(行政学)に聞いた。

 −安倍首相は、消費増税の使途変更を解散理由とした。今回の選挙の争点は。

 「増税は争点の一つ。旧民主党政権時の与野党三党合意で消費税10%への段階的引き上げは決まっているが、その使い道を教育や福祉に振り向けるという。この提案が将来、国民にとっていいのかどうか考えていかなければならない。それから憲法改正、安全保障法制への立場も政党間で違いがある」

 −静岡は浜岡原発を抱える。原発再稼働の是非は争点となるか。

 「浜岡原発は六年間、停止したままで県内経済、日常生活は成り立っている。それでも再稼働するのは県民にとって違和感があるのではないか。原発に対してのスタンスも各党で分かれている。原発の代替電力を考えていく時代。原発のない社会をつくっていくことは、有権者にとっても重要な争点になる」

 −今回の選挙は「自民・公明」「希望・維新」「立憲民主・共産・社民」の三極構図となった。

 「日本全体は三極でも、県内は基本的に自民と希望の対立構図が鮮明になっている。自民と、反自民の受け皿としての希望。立憲民主の候補者は1区と7区の新人二人のみだ」

 −衆院選の投票率が毎回下がっている。県内小選挙区は二〇一二年が61%、一四年が55%だった。

 「希望が無党派層の受け皿になるのかが、今回の選挙の大きなポイント。実績がないので判断しにくい。自民と違う受け皿を求めている無党派層にとって、県内は選択肢が少ない。白票や棄権が増えれば、前回選を下回る可能性が高い」

 −希望の勢いが収束したように感じる。

 「旧民主党政権の混乱がまだ有権者の記憶に残っている。新しい勢力に政権を託すことの警戒感がある。それを払拭(ふっしょく)できれば、本当の政権交代の環境が整う。何らかのきっかけで再び希望への風が吹けば、選挙に対する高揚感が投票率を押し上げるだろう」

 −投票率を上げるにはどうしたら良いか。

 「〇九年の政権交代のように、変化を実感するかどうか。政治に距離を置く若者を巻き込めるかが課題だ。若者が提案した政策が一つでも実現すれば変化が起きる。例えば授業料無償化。若い人たちが主体的に提案できる争点があり、その対立軸がしっかりしてくれば投票へと動くだろう」

(聞き手・荒木正親)

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