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静岡

新党続々 風吹くか 「自公」受けて立つ

2017年10月11日 紙面から

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 衆院選が十日公示され、県内では八小選挙区の二十六人が名乗りを上げた。3区では希望の党の公認を望んだ二人の間で明暗が分かれ、7区では公示直前になって希望と立憲民主党がそれぞれ擁立にこぎ着けるなど、相次いだ新党の立ち上げを受けて混戦模様となった。各候補は二十二日の投開票に向け、憲法改正や消費税増税の是非、安倍政権への評価などを巡って主張を繰り広げた。

◆静岡3区 前、元職 三様の訴え

 希望の党の公認を巡って競合した前職、元職の二氏と、自民前職の計三氏が立候補した。第一声でそれぞれの立場や意気込みを示し、選挙戦に突入した。

 希望の公認から外れ、無所属で戦う小山展弘さん(41)は、磐田市内で出陣式。「背水の陣だが、自分の信念を正直に訴えるチャンス」と無所属を前向きに捉え、「保守からリベラルまでの受け皿を目指す」と幅広い層からの支持を求めた。応援に駆け付けた民進党県連の榛葉賀津也会長は、公認決定までのプロセスを批判し「ピンチはチャンス。3区からまともな政治を取り戻す」と呼び掛けた。

 希望の公認候補となった鈴木望さん(68)は、御前崎市の中部電力浜岡原発前で「原発事故を収束する能力は人類にはない」と浜岡廃炉を訴えた。掛川市で応援演説した細野豪志さん(46)は「党をつくる時にいち早く声を上げていただいた。盟友だ」と関係の深さを強調。選挙カーには「細野豪志さんと一緒にしがらみのない改革を断行します」と書かれ、細野さんと共闘する姿勢を鮮明にした。

 自民の宮沢博行さん(42)は磐田市内で開いた出陣式で、「自民、公明の連立政権は、日本の国難である人口減少に対してきちんとした処方箋を出している」などと与党としての実績や連立政権の継続を訴えた。対抗馬の両氏を意識した発言は一切なかったが、選対幹部は「戦況は不透明。一時の風や足元の定まらない候補に後れを取れない」と気を引き締めていた。

◆静岡7区 新人2氏が「国替え」

 「初めまして。静岡県の東から西へ移動して出馬しました」。立民新人の日吉雄太さん(49)の第一声は、国替えのあいさつで始まった。選挙事務所には朝届いたばかりのポスターが山積み。仕分けに追われる数人の支援者に頭を下げると、早速「友人ばかり優遇する安倍政権を倒さなければ」と熱弁を振るった。

 静岡1区から国替えした希望新人の福村隆さん(54)は「いろいろな事情があった」とだけ説明。「祖父母が浜松市出身」と縁をアピールしつつ、「危険なことが起きていると感じたら、政権交代できる環境が必要だ」と訴えた。九日に刷り上がったばかりの「希望の党」の文字入りの名刺を手に、選挙カーに乗り込んだ。

 「一人かと思ったら、もう一人来た」。自民前職の城内実さん(52)は、公示直前に7区から出馬を決めた福村さんと日吉さんを新党の「刺客」と断定。高ぶる闘志を抑えきれない様子で、「誰を首相にするか分からないような党はおかしい。撃退してぶっちぎりで勝ちたい」と、集まった約千人の支援者に呼び掛けた。

 「安倍暴走政治をやめさせる機会」と訴えた共産新人の野沢正司さん(68)。選挙の構図を「憲法で見れば自公と補完勢力、市民団体と野党共闘に分かれる」とし、改憲を掲げる希望を暗に批判した。一方、立民には「一緒にやるべきだったろうが…憲法を守るため互いに頑張りたい」と複雑な心境を本紙に語った。

◆静岡8区 前職と2新人が激突

 「選挙の責任者が地元で負けたら切腹もの」。自民党選対委員長として臨む前職の塩谷立さん(67)は午後、JR浜松駅前で千人の聴衆を前に「助けてください。絶対に負けるわけにはいかない」と繰り返した。

 「看板を掛け替えただけの政党に政権は任せられない」と希望を批判、自公連立政権継続を呼びかけた。

 希望新人の源馬謙太郎さん(44)は夕方、細野豪志さん(46)=静岡5区=が応援に駆けつけたJR浜松駅前で「野党がだらしなかったので、政権の暴走やおごりを招いた」と与党に代わる政権の受け皿づくりの必要性を訴えた。日中は地元の東区を中心に遊説し「地方に権限を移し、浜松を元気にしたい」と語りかけた。

 共産新人の嶋田初江さん(69)は午後、遠州鉄道新浜松駅前のソラモで第一声。「希望は自民の補完勢力」と批判し「8区で戦争反対を訴えているのは私だけだ」と塩谷、源馬両候補との違いをアピールした。

◆静岡1区 野党3人 自民に挑む

 安定政権を訴える自民前職に、野党候補三人が論戦を挑んだ。

 JR静岡駅南口では夕方、自民前職の上川陽子さん(64)と共産新人の鈴木千佳さん(46)が入れ替わりで演説した。上川さんは改憲を争点に挙げ「時代は変化しており、憲法は絶えず議論することが必要。安定政権で国難に当たりたい」と主張。一方、鈴木さんは「憲法違反の安保法制を許すわけにはいかない。安倍政権を倒そう」と呼び掛けた。

 静岡市中心部、葵区呉服町の交差点でも複数の候補者がマイクを握った。希望元職の小池政就(まさなり)さん(43)は正午前、「日本の改革の最後のチャンス。皆さんの力で大きなうねりを作り出してほしい」と政権交代を訴えた。立憲民主新人の青山雅幸さん(55)は夕方演説し「自民と希望が憲法九条を改悪すれば、戦争の未来になる。憲法は今のままでいい」と声を張った。

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