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静岡

議員の品格見極めを 県内の「達人」に聞く

2017年10月8日 紙面から

 失言や暴言、金銭トラブルや既婚者との交際疑惑…。有権者を驚かせた前衆院議員の騒動が相次ぎ、品格が問われている。一票を託す先を選ぶ時に注意するポイントは何か。人に多く接したり見極めたりしている静岡県内の五人に聞いた。

◆顔つき 普段の行動 リーダーシップ

信用できる人の見分け方について話す木宮行志さん=浜松市西区で

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 企業の新人研修も受け入れている龍雲寺(浜松市西区)の木宮行志(こうし)副住職(39)によると、本当に信用できる人は「見返りの心から離れた人」。議員は「本来は国全体のために働く仕事。『地元にこういう見返りがあるから』と頼むような人ではいけない」と説く。

 新党の結成が続き、新人も次々名乗りを上げる。木宮さんは「表情で判断するのも一つ。顔つきには生き方や心根が表れる。素直な心で、にこやかな表情を浮かべている人に注目してみては」と助言した。

 「表面的な人当たりの良さでは見抜けない。対人関係がうまい人にはバイアスがかかり、惑わされる」。浜松市で多様なサービス業を展開する企業グループで人事を担当する四十代男性は、トラブルを招く人を見抜く難しさを語る。

 採用では、志望理由に一貫性があるか吟味し、接客する職場を希望する転職組には、業務の苦しさをあえて伝えている。「政治家も聞き心地の良い言葉や、中身のない『一生懸命やります』『しっかりやっていく』という言葉だけだと、つらい場面で折れてしまうのでは」

 会社への信頼があってこそ客に選ばれることを引き合いに、「候補個人の情報量は少ない。党の責任で(資質を)見てくれたら安心して投票できる」と話す。

経験に着目する大切さを話す村松貴通さん=浜松市浜北区で

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 「浜松人事コンサルタント」(浜松市浜北区)代表の社会保険労務士、村松貴通さん(40)は「現場で悩み困った経験がないと、地に足の着いた政策はできない。理想ばかり高い、一見立派なことを掲げても意味がない」と言う。危ないタイプは「調子よく『なんとかなるだろう』『大丈夫。簡単だから』と、その場しのぎのことを言う人。リスク管理が甘い」と忠告した。

 情勢が混迷し、有権者も惑わされそうだが、「トップにリーダーシップがあれば組織がぶれにくく、国民もついていきやすい。トップには人間性や目標のぶれなさが大事だ」と言う。

 県警の五十代の男性捜査員は「取り調べでは話をしっかり聞いて信頼関係を築くことが大事」と言う。候補者と容疑者では見分け方も違うと前置きし、「候補は基本的に良いことしか言わない。でも演説が下手な政治家が悪いとは限らないでしょ。しっかり話を聞いたり、普段の行動を観察したりして決めるのが一番では」と話した。

 農協の五十代の人事担当者は、採用面接での注意点から「目が泳いでいると真意じゃないのかなと思ってしまう」。

 「お騒がせ議員」が多いことに「資質というより自覚がないんでしょ」とばっさり。「地位や名誉が欲しいのかね…。日頃の行動が見られたら良いですが」とつぶやいた。

(衆院選取材班)

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