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静岡

護憲、どう託せば リベラル層 迷う投票先

2017年10月6日 紙面から

◆「理想的な選択肢ない」

10日の衆院選公示を前に設置されたポスター掲示場。護憲派で安保法に反対する有権者の票の行方は?=浜松市中区で

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 十日の衆院選公示まであと四日。県内の小選挙区の構図がほぼ固まり、「自公対希望」の政権選択の様相も見える中、憲法改正や安全保障関連法に否定的な県内のリベラル層は投票先に頭を悩ませている。受け皿を目指す立憲民主党の公認候補が立つ予定なのは1区と7区のみ。これまで主に民進党に票を託してきた護憲派の票は、どこに向かうのか。

 民進前職が希望の党公認で出馬を予定する6区。前職にこれまで投票してきたという清水町のパート社員男性(68)は「民進には、自民と考えの違う二大政党になってほしいと期待していた。憲法や安保法制への考え方がまるっきり保守の希望と合流したのは残念」と失望感をにじませた。

 「保守には入れたくないが、自分の一票を死に票にしたくないので、小選挙区も比例も投票先を決めかねている。もう少し情勢を見守りたい」と語る。

 安保法廃止や護憲などを掲げ、毎週金曜日にJR三島駅南口で街頭活動をしている三島市の主婦浅羽愛さん(41)は「希望は自民より保守的」と危機感をあらわにする。立憲民主を支持するが、5区には立候補予定者がおらず「理想的な選択肢がない」と嘆く。「護憲や反原発の立場がはっきりしている」との理由で小選挙区では共産党の候補者を推し、比例は立憲民主に投票しようと考えている。

 希望の公認争いが繰り広げられた3区。主に民進候補に投票してきたという掛川市の自営業男性(57)は「投票は欠かしたことがないが今回は難しい。期待した希望は単なる数合わせに見える。外交や憲法改正などの考え方は自民党と変わらない」。共産には賛成できないとし、「現状の社会情勢を踏まえた考えを示してくれる政党がない」と悩ましげだ。

 浜松市中心部の8区。東区の男性教員(60)は憲法改正を主張する自民に強く反発し、希望も「改憲政党だ」と批判する。「まともな立憲民主の候補者がいればいいが、この地域はリベラルな市民運動が弱い」と残念がり、今回は共産に投票するつもりだ。

 民進を支持してきた中区の無職早坂幸男さん(81)は「野党は情けない。人気のあるところにくっついている。もっと筋を通してほしい」と訴える。保守対保守の戦いに乗らず、「憲法を守ってくれる候補者に入れたい」と話す。

(衆院選取材班)

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