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静岡

7区 驚きの混戦 4人立候補予定

2017年10月5日 紙面から

◆希望・福村さん 苦渋の国替え

 衆院選の公示まで一週間を切った四日、静岡7区を“突風”が襲った。1区から出馬予定だった新人の福村隆さん(54)が希望の党公認で7区への“国替え”となり、前々回の衆院選に出馬した自由党員の新人野末修治さん(62)も無所属での出馬意向を固めた。自民前職の城内実さん(52)、共産新人の野沢正司さん(68)の一騎打ちとみられた構図は一転、四人が立つ混戦になった。

 「1区からの出馬を目指して一年間頑張ってきたが、希望の公認が出なかった。悩み抜いた末の判断だ。これまで支えてくれた皆さんに申し訳ない」

 四日午前、静岡市葵区の民進党県連であった緊急常任幹事会。福村さんは目に涙をためながら、7区への“国替え”を表明した。同じ県内とはいえ、7区での知名度はほぼ皆無。幹事会後、記者団に囲まれた福村さんは「非常に厳しい。街宣車もなく、私の車でポスターを一枚一枚貼って(選挙運動期間の)十二日間が終わり、ということもあり得る」と苦境を明かした。

 出席者らは「寝耳に水だ」と驚いた。県議の一人は「事務所も無いのに間に合うのか」と心配。7区内の浜松市浜北区選出の阿部卓也県議は「話すことはない」と取材に応じなかった。関係者によると、席上「(福村さんを)すんなり応援できない」と複雑な心境を吐露したという。

 一方、野末さんは四日午後、取材に対し、自由党の小沢一郎代表の前日の記者会見をユーチューブで見て「出馬は本人の判断で結構ということだったので出る」と明かした。福村さんの参戦には「そうなの?」と驚きを見せたが、「意思は変わらない。ともかく書類をそろえないと」と慌ただしそうに話した。

 既に立候補を表明している二人にも衝撃が走った。城内さんは四日午前、修学旅行で国会議事堂を訪れた小学生を案内中、秘書からの電話で福村さんの出馬を知った。希望からの擁立を「想定内」としつつ、「1区で頑張ってきた人を、公示直前に国替えさせるなんて」と半ばあきれた。

 福村さんについては「細野(豪志)さんが送ってきた刺客。負けるわけにはいかない」と対抗心をあらわにした。一方、野末さんの出馬には驚きを見せ、「情勢分析をやり直さないといけない」と漏らした。

 野沢さんも同日昼ごろ、浜北区を街宣中に福村さんの出馬を知った。「細野さんは静岡の全選挙区に立てると言った。やっぱり出るのか」と感想を漏らし、「希望は自民と同じ陣営。安保法制に反対し、安倍政治を代えるには野党と市民の共闘しかない」と語気を強めた。その野沢さんも、野末さんの参戦には「ええ?」と驚くしかなかった。

(衆院選取材班)

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