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静岡

広がるネット選挙運動 有権者は情報の見極めを

2017年10月5日 紙面から

インターネットで情報を集めるコツを話す和田喜充さん=磐田市で

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 二〇一三年夏の参院選で解禁されて以降、普及と多様化が進んできた「ネット選挙運動」。今回は、選挙権年齢が十八歳以上に引き下げられてから初の衆院選でもあり、立候補予定者たちも会員制交流サイト(SNS)での訴えを強化しそう。一方でネット上には不確かな情報もはびこる中、有権者側はどう活用し、判断材料にすればいいのか。

 一三年の公選法改正で、選挙期間中にSNSやブログ(日記風サイト)の投稿、ホームページ(HP)の更新などを通して政策の説明や遊説日程を知らせたり、投票を呼びかけたりすることができるようになった。前回の一四年衆院選でも公示後にブログで日々意気込みを語り、HPで遊説の動画を公開するなど、さかんに活用された。

 静岡県を基盤とする前衆院議員十二人は全員が公式HPを持つ。並行してフェイスブック(FB)やブログ、ツイッター、メールマガジン、動画といった手段で、活動や政策を発信。新人も、「人手が圧倒的に足りていません!!」とツイッターでボランティアを募ったり、新党の顔と納まった写真をアピールしたりと、あの手この手でPRする。

 しかし、ネット上には常に、発信元や真偽がはっきりしない情報も飛び交う。

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 県内の事業者などにネット活用を提案するITコンサルタントの和田喜充さん(50)=磐田市=によると、すでに今回の衆院選を前に「過去や裏ではこんなことをやっていた」といった根拠のない情報が出回り、意見が相次いでヒートアップしているケースがある。

 「選挙前の状況が混沌(こんとん)としていて、面白おかしく盛り上がり、娯楽のような形で乗っかっているのでは」とみる。先の米大統領選でも、フェイク(偽)ニュースがネット上にあふれ、有権者を混乱させた。「本当の声というのは、自分の目で見た、耳で聞いたもの。信頼できる出所か精査して自分の意見を持つよう、気を付けないといけない」と強調する。ネットの発信手段として、かつては不特定多数に伝えるHPやブログが主だったが、今では若者に人気の写真共有アプリ「インスタグラム」や、意見交換もなされるFBなど、スマートフォンの普及によって特徴や利用者層が異なるSNSが増えた。共感できる相手など特定の人とつながって発信するため、和田さんは「興味のない情報は届きにくい。内容に偏りや、真実でないこともある」と過大視を戒める。

 「ネットに流れた情報をうのみにせず、(ネット上でない)リアルで自分が感じたものを大事にして、SNSなどでそれを補完するくらいにとどめるのがいいのでは」と助言する。

(松本浩司)

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