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静岡

県内経済界の反応

2017年9月29日 紙面から

 衆院解散で十月二十二日の投開票が決まった総選挙では、安倍晋三首相が掲げた消費税増収分の使途変更のほか、経済政策も問われる。県内の経済団体や大手企業のトップからは、財政健全化先送りの懸念や成長戦略実現に向けた政策論争を期待する意見が相次いだ。一方で、中小企業関係者からは人手不足解消など次期政権への要望も聞かれた。

 「基本的に増税には賛成だが、社会保障の問題を片付ける大義があった。使途変更は問題が片付いていない気がする」。静岡商工会議所の酒井公夫会頭(静岡鉄道会長)は二十八日の記者懇談会で、こう疑問を投げ掛けた。「企業経営では一つ成果を出して次のステップに行く。どんどん遅れるのは果たしていいのか」とも。

 同席した望月昭宏副会頭(清水銀行専務)は「国の借金は一千兆円を超えている。増税分を教育に回すというが、社会保障費が増大することを考えると、当初の予定通り借金返済に回してほしい」と話した。

 突然の解散劇や野党再編といった政局に戸惑いつつ、地方の活性化や経済対策の論戦を注視する主張も目立った。

 浜松商議所の大須賀正孝会頭(ハマキョウレックス会長)は「消費税と財政再建・子育て支援への対応、憲法改正、加計・森友問題、北朝鮮情勢、さらに政界再編と多くの課題が絡み合い、いまひとつ争点が見えない」とコメント。選挙戦では「地方経済を支える中小企業への振興対策、規制改革によるイノベーション(技術革新)の喚起、人口減少の歯止めと地方創生などについて、分かりやすい公約を」と注文した。

 浜松ホトニクスの晝馬(ひるま)明社長は「なぜ今解散なのか」と疑問視しつつ、「景気が緩やかな回復基調にある中、さらに成長していくための道筋が具体的に示され、将来に資する政策論争が行われることを期待する」との談話を出した。

 中小企業からは切実な叫びも。「仕事は減っていないが、波がある。アベノミクスの恩恵は感じない」と明かすのは、浜松市内の部品加工会社役員。自動車産業の主流が電気自動車(EV)に転換していくことも見据え、新たな人材を育てられるよう「首都圏の学生たちに、地方の中小を選択してもらえるような環境づくりを進めてほしい」と願った。

 県中小企業団体中央会の諏訪部敏之会長もコメントを出し、「一刻も早く景気の再生、成長に向け、全力で取り組める体制を整えてほしい」と要望した。

(衆院選取材班)

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