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静岡

県内有権者に聞く「争点」

2017年9月28日 紙面から

 多くの課題を積み残したまま、安倍晋三首相は二十八日に衆議院を解散する。首相は解散表明会見で、消費増税分の使い道や北朝鮮問題への対応を問うなどと説明したが、大義なき解散との批判も根強い。今回の総選挙は何を問うものなのか。静岡県内の有権者にそれぞれにとっての「争点」を聞いた。

 就職活動を控える静岡文化芸術大三年の男子学生(20)は「経済政策が若者に良いものか注目している」。月五万円の無利子奨学金を借りていて、返済のためにも正社員での就職を望む。「雇用の数は増えているが非正規も増えていると新聞で読んだ。安倍首相は『経済がうまくいっている』とアピールしているが、長い目で見て若い世代にプラスになるのか」と、雇用の質の維持に疑問を抱く。

 民間企業のホームページ作成に携わる浜松市北区のアルバイト女性(21)は、経済的な先行き不安から教育費の負担が気になる。「収入も貯金も少ない。子どもができても教育にお金がかけられないかも」。消費税の増収分を幼児教育無償化に充てる首相の考えを歓迎する。

 二歳と四歳の娘を育てる浜松市東区の主婦佐久間智恵子さん(38)は、原発政策に目を向ける。千葉県で暮らしていた時に東日本大震災を経験、「代償が大きいのに本当に原発が必要なのか」と考えた。「近くで事故が起きれば、どんなに良い教育政策があっても、女性が社会に進出していようと、意味がなくなる」と危機感をあらわにする。

 静岡市葵区で飲食店を営む佐野正一さん(46)の「争点」は、人口減少対策。「十四年前に店を開いて以降、街中を歩く人が減っていると感じる。若い女性が東京に出てしまうので、女性にとって子育てしやすく、働きやすい環境を整備してほしい」と望む。

 隣国との国際関係や外交を重視する人も。

 島田市の建設会社員、紅林(くればやし)真実さん(53)は「政治にはあまり期待していない」としつつ、「アジアとの友好」を挙げた。「尊敬し合えるよう、若い頃から交流を盛んにすることが必須」と話した。

 沼津市の郷土史研究家望月宏充さん(78)は「北朝鮮が恐ろしいので、国民の平和を守れる政策を打ち出してほしい」と語る。一方で政治への不信感も強く、「自民は加計問題などでおごりが出ているが、代わって政権を担える野党もない。二大政党として自民と切磋琢磨(せっさたくま)できる勢力が伸びてほしい」と願う。

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