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静岡

「解散、大義ない」残る不信 県内有権者

2017年9月26日 紙面から

◆「戦略」理解の声も

解散総選挙を決め、会見する安倍首相を映し出す家電量販店のテレビ売り場=25日、浜松市東区のケーズデンキ浜松市野店で

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 「大義がなく、国民を見ていない」「選挙に勝つ戦略としてはあり」。二十五日夕、安倍晋三首相が記者会見し、二十八日に召集される臨時国会冒頭での衆院解散を正式に発表した。静岡県の有権者らからは理解を示す意見がある一方で、解散を疑問視する声が多く上がった。

 自宅のテレビで解散表明を見た浜松市浜北区の無職女性(64)は「自民党が選挙で勝つための解散」と不信感を募らせた。北朝鮮の挑発が続く中で政治的な空白が生まれることについても「こんなときに大丈夫だろうか。戦争体験をしていない世代が政治家になっている」と話した。

 同市天竜区上野の無職池野谷重好さん(68)は「大臣辞職や加計学園問題など安倍政権の失政を追及すべき時なのに」と批判。対抗する民進党が内部でごたつくのを残念がる一方で「首相の暴走を見ているだけではいけない。野党に頑張ってもらわないと」と奮起を求めた。

 市内で障害者就労支援施設を運営するNPO法人代表の斯波(しば)千秋さん(67)=同市南区=も加計学園、森友学園の問題に触れ「政府が批判に聞く耳をもたなければ、若者は議論しても無駄だと感じて政治に無関心になってしまう」と不満を漏らした。

 浜松西高校三年の塚本優希さん(17)は「いろいろな不祥事に距離を置きたい、逃げたいというように見えなくもない。ちゃんと問題に向き合う意志があればそうならないのでは」と話した。

 市長・市議選と同日選挙となる見込みの牧之原市では、同市波津の無職羽田智行さん(79)は「支持率が上がったからと自分の都合で解散したように見える」と批判。「生活への関わりが深い分、市長選の方が断然関心は高い」と話し、「衆院選との相乗効果で、投票率が上がるといいんですが…」と心配する。

 一方で、解散に一定の理解を示す声も。静岡市駿河区の会社員水島滉大(こうだい)さん(22)は、会見をリビングのテレビで見た。少子高齢化や北朝鮮のミサイル発射に言及した「国難突破解散」という安倍首相の言葉に対し「今やらなくてもいい」と感じたものの、「自分の党にとって有利なタイミングなのだろう。あまり気にならない」と思った。

 三島市徳倉のIT会社社長遠藤貴光さん(47)は「選挙に勝つための戦略としてはあり」とする一方、「大義や論点がはっきりしない。あまり評価できない」と指摘した。

◆「希望の党」に期待と疑問

 東京都の小池百合子知事が設立と代表就任を発表した新党「希望の党」。県内の有権者からは、期待と同時に疑問の声が聞かれた。

 三島市富士ビレッジ、無職菊池博さん(73)は「新党が自民党に代わりうる二大政党になれるよう頑張ってほしい」とエールを送る。

 一方、浜松市浜北区の女性(64)は「都知事をやりながら代表もできるのかな。党も寄せ集めの印象で、理念もどこかで聞いたことがある。将来を託せるのかと思う」と厳しく評価した。

 同市天竜区上野の無職池野谷重好さんは「小池さんの名前だけでどんな政策か分からない」としつつも、「民進党だけでは野党の議席が増えそうにない」と自民に対抗する一定の役割を期待した。

 民進党を離党して希望の党への参加を表明している細野豪志・元環境相(衆院静岡5区)の地元三島市のIT会社社長遠藤貴光さんは細野氏について「離党はやむを得ない」と理解を示しつつ、「これまではリーダーの陰に隠れ、ピンチになると逃げ出すイメージ。新党でも小池さんの横にくっついていて心配だ。もっとリーダーシップを発揮してほしい」と奮起を求めた。

(衆院選取材班)

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